K氏の収支シミュレーション…75歳まで「働くしかない」現実
一般的な中小企業の退職金平均、中小企業勤務時の平均年収は下記の通りです。K氏の収支と比較してみましょう。
<中小企業の退職金平均>
大卒:約1,100万円
高卒:約1,000万円
(出所:東京都産業労働局 令和2年中小企業の賃金退職金事情)
<中小企業の年齢別平均月収>
00~19歳……18万8,000円
20~24歳……21万7,000円
25~29歳……23万8,900円
30~34歳……26万6,600円
35~39歳……29万4,600円
40~44歳……31万9,000円
45~49歳……33万9,100円
50~54歳……35万6,400円
55~59歳……35万9,400円
60~64歳……28万8,200円
65~69歳……26万2,500円
70歳以降……26万6,100円
(出所:厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査より)
上記の数字から、再雇用になると、一般的に55~59歳の「35万9,400円」から60~64歳では「28万8,200円」と7万1,200円ダウン、65~69歳では「26万2,500円」と9万6,900円ダウン。月収が年齢を重ねるにつれ減ってしまうことがわかります。
他方、K氏の年齢ごとの収支をみてみましょう。
<59歳収支>
・合計消費支出:44万5,000円
【内訳】
食料:5万円
住居:10万円
光熱・水道:2万円
家具・家事用品:1万円
被服及び履物:5,000円
保健医療:1万5,000円
交通・通信:1万5,000円
教 育:20万円(仕送り込み)
教養娯楽:1万円
その他の消費支出:3万円
Kさんは、ボーナスを含めた「年間580万円(月額48.3万円)」でなんとか生活している状況です。60~61歳で予定される収支はどうでしょうか。シミュレーションしてみます。
<60~61歳収支>
・合計消費支出:34万5,000円
【内訳】
食料:5万円
住居:10万円
光熱・水道:2万円
家具・家事用品:1万円
被服及び履物:5,000円
保健医療:1万5,000円
交通・通信:1万5,000円
教 育:10万円(仕送り込み)
教養娯楽:1万円
その他の消費支出:3万円
教育費が1人分減った状態でも、再雇用後の「月収27万円」では赤字です。もし退職した場合、夫婦の年金20万円でも赤字となるため再雇用が必要であることがわかります。62歳以降はどうでしょうか。
<62~74歳収支>
・合計消費支出:25万5,000円
【内訳】
食料:5万円
住居:10万円
光熱・水道:2万円
家具・家事用品:1万円
被服及び履物:5,000円
保健医療:1万5,000円
交通・通信:1万5,000円
教 育:0円
教養娯楽:1万円
その他の消費支出:3万円
教育費がなくなり黒字で生活できるものの年金だけでは暮らせず、貯金を切り崩していくのも心配なため継続して働くことが必要です。
<75歳収支>
・合計消費支出:16万5,000円
【内訳】
食料:5万円
住居:1万円
光熱・水道:2万円
家具・家事用品:1万円
被服及び履物:5,000円
保健医療:1万5,000円
交通・通信:1万5,000円
教 育:0円
教養娯楽:1万円
その他の消費支出:3万円
75歳になってマイホームのローンが終わり、ようやく年金暮らしができそうです。
ちなみに、総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の一般的な生活費の平均は下記となります。K氏の生活費は、平均並みといえます。
<2020年度、65歳以上の夫婦のみの無職世帯>
・合計消費支出:22万4,390円
【内訳】
食料:6万5,804円
住居:1万4,518円
光熱・水道:1万9,845円
家具・家事用品:1万0,258円
被服及び履物:4,699円
保健医療:1万6,057円
交通・通信:2万6,795円
教 育:4円(※)
教養娯楽:1万9,658円
その他の消費支出:4万6,753円
※内訳における教育の割合は統計上0.0%
(出所:総務省統計局 令和2年家計調査年報家計収支編)