教員の長時間労働…諸悪の根源とされる「給特法」改正なるか
総務省によると、2021年、教員の平均給与(給料と諸手当の合計)は、月40万9,427円。手取りにすると、おおよそ30万~31万円ほど。また市区町村教員の賞与は4.45ヶ月分で、年収は推定673万円ほどになります。
一方、民間であれば同じようなキャリアといえる「大卒・正社員」の平均給与(きまって支給する現金給与額)は39万6,400円。推定年収は599万円ほど。民間企業の平均値よりは多くの給与をもらっているといえますが、1ヵ月の労働時間は(所定内実労働時間と超過実労働時間の合計)は176時間。教職員よりもはるかに短い労働時間です。
教員は民間企業の平均値より給与水準は高いとはいえ、労働時間は過労死レベルをはるかに超えたもの。そこに公立学校の教員は「残業代が出ない」という事実も加わります。正確にいうと、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」で給料の4%に当たる額が上乗せされており、その分は織り込み済みということ。ただこの給料の4%というのは、8時間程度のもの。この給特法によって、教員は「残業し放題」という状況に置かれているわけです。
このような労働環境から教員自身が教職を目指す人たちに警鐘を鳴らしています。前出の調査によると、「教員になりたい人から相談を受けた場合、教員の仕事を勧めない」が57.6%と過半数。その理由として多かったのが「業務量が多い」 78.3%、「勤務時間が長い」75.3%、「精神的負荷が大きい」73.8%でした。
教職員の荷重業務で精神疾患となり、休職に追い込まれたり、自殺に追い込まれる事例は後を絶ちません。そのような状況の根源とされているのが、前出の給特法。50年以上前につくられたもので、いまの時代には合っていない、という指摘もあります。
——残業代がしっかりと支払われないと、本気で時間外労働は減らない
そのような思いから、10月27日、教育関係者らでつくる「給特法のこれからを考える有志の会」は、自民党に改善の要望書と6万5,000人分の署名を提出。多くの教職員の悲鳴が、しっかりと届くことを願います。