視界にキラキラが飛ぶ、目の端に光が走る原因は?脳や神経に問題があるケースも【眼科専門医が解説】

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視界にキラキラが飛ぶ、目の端に光が走る原因は?脳や神経に問題があるケースも【眼科専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

視界にキラキラしたものや光が見えるとき、どんな病気や原因が考えられるのでしょうか。メディアでお馴染みの眼科専門医・平松類医師が解説します。

視界にキラキラや光が飛ぶのは病気?

「視界にキラキラしたものが見えるのですが、病気でしょうか?」と聞かれることがあります。しかしキラキラしているというだけでは、正常かどうかはわかりません。そして一口に「キラキラして見える」といっても、いろんな場合が考えられます。

 

一つは「光視症(こうししょう)」といわれる症状で、光が入っていないのにキラキラと感じる場合。はたまた「羞明(しゅうめい)」といって、普通の明るさの光を眩しく感じてしまうという場合。さらに、眩しくはないのだけれども光を見たときに感じる「虹視症(こうししょう)」という現象があります。同じようでいてそれぞれ違うので、その原因や対処法について解説します。

光視症、羞明、虹視症の違いは?

光視症、羞明、虹視症の症状の違いは、以下の通りです。これらの中間だったり、複合して感じたりする場合もあります。

 

光視症:光が見えていないのに光って見える

羞明:光が通常より眩しく感じる

虹視症:光の周りに虹のような環のように感じる

 

■光視症の特徴・原因

光視症というのは、光っていないのに見えてしまうもの。目を閉じても光って見えます。光の信号がなぜか脳に届いてしまう、というのが症状の原因です。これは「目に問題がある場合」と「脳や神経に問題がある場合」があります。

 

<目に問題がある場合>

目に問題がある場合は、病的な「網膜剥離(もうまくはくり)や網膜裂孔(もうまくれっこう)」と、病的ではない「後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)」が挙げられます。どちらも、目の奥にある「網膜」という部分に刺激が加わることによってその電気信号が脳に伝わり、光って見えます。

 

病的である場合はレーザー治療や手術が必要となります。早期に治療しないと視力低下をきたすので、眼科の受診が必要です。症状の特徴としては、飛蚊症(ひぶんしょう)といって、視界に蚊が飛んでいるような、何かが浮遊して見える症状を同時に感じます。

 

一方、病的ではない後部硝子体剥離というのは何でしょうか? 病気のように長い名前なので、心配される方が多いです。硝子体というのは目の玉の中につまっている透明なゼリー状の物質です。硝子体は年齢とともに減っていくのですが、そのとき、網膜とくっついている“硝子体の後ろの部分”が、網膜から徐々に外れてきます。これは歳を取れば多くの人に起こる現象です。その刺激のようなものとして光視症を感じます。

 

<脳や神経に問題がある場合>

脳や神経の問題というのは、脳や神経に何らかの刺激が加わり、その電気信号によって光って見えるということです。特徴的なのは「閃輝性暗点(せんきせいあんてん)」という現象で、ギザギザとした歯車のような光を感じることがあります。閃輝性暗点の場合は、光を感じた後に頭痛が出やすいという特徴があります。その他様々な光を感じることがあります。脳や神経に何らかの問題が生じている場合があるというのは、血管が収縮していたり、何らかの神経の病気があったりということです。そのため脳を精査してくれるような神経内科や脳神経外科などの受診が必要になります。

 

■羞明の特徴・原因

羞明の場合は、目を閉じれば感じません。しかし目を開けると通常より光が強く感じてしまいます。羞明の主な原因は目の病気です。角膜(=目の表面。黒目)に傷がある場合や、目の中に炎症がある「ぶどう膜炎」などの炎症性の病気がある場合などが多いです。その他にも目の神経の病気、網膜の病気、眼瞼痙攣など瞼の病気によっても起きます。これらは眼科の受診が必要です。その他に神経や脳的な問題によって羞明を感じる場合があります。

 

■虹視症の特徴・原因

虹視症は緑内障の初期症状の1つともいわれています。光を見るとそれが虹の輪のように感じるという現象です。そのほか角膜(黒目)の傷などによっても生じる可能性があります。虹視症も眼科の受診が必要になります。

光視症などを治す方法はある?

では、治療法というのはどういうものがあるのでしょうか?

 

よく「光視症を治せますか?」と聞かれます。しかし、原因にもよるので何とも言えないというのが正直なところです。なぜならば光視症はあくまで症状であり、その原因となる病気は様々だからです。原因によっては治せるし、原因によっては治せない、という側面があります。

 

治せる光視症としては、何らかの神経の問題がある場合で、代表的なのは閃輝性暗点です。この場合は適切な治療によって再発を減らすことができます。

 

一方で網膜裂孔・網膜剥離などの場合は、光視症自体を治すことはできません。しかし、その病気自体を放置すると失明リスクもあるために眼科的な治療は必要となります。

 

脳に問題がある場合も、治療が必要なケースもありますが、光視症は治まらないことがあります。

 

また、これらを調べても、目にも脳にも現代の医学では明確な異常を認められない場合があります。その場合は経過を観察しながら、何か見落としがないのか? 今後違う症状が出てこないか?を観察することとなります。

 

一方、羞明の場合は治療により改善することが多いです。眼科で適切な治療を受けることが必要となります。虹視症の場合は緑内障であったとしてその治療は必要ですがそれで虹視症が消えるかというと残ってしまう人もいます。

「キラキラして見える」は受診したほうがいい?

では、どういう場合は受診したほうがいいのでしょうか? 残念ながら「この光り方だったら要受診、この光り方だったら受診しなくていい」という基準がありません。なぜならば、光視症というのはいまだに細かい病態は解明されているわけではありません。結果として目や脳の何らかの大きな病気が隠れている可能性が否定できないからです。

 

では、目と脳のどちらを先に調べたほうがいいのでしょうか? 頭痛やふらつきなど全身的な症状がある場合は、まずは神経内科または脳神経外科の受診を優先してください。頭痛やふらつきなどがない場合は、症状から疑われるほうを先に受診していただき、そちらで問題が見つからなければほかの診療科を受診するという方法がおすすめとなります。

 

 

平松 類

眼科専門医・医学博士

二本松眼科病院 副院長

 

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。