家計管理の方法は家庭によりさまざまです。どのような管理方法だと貯蓄や投資に回す額を増やせるのでしょうか? 今回は、手取りふたりで60万円の40代共働き夫婦が「20年で4,800万円をつくる」家計管理術をみていきます。
手取りふたりで60万円の40代共働き夫婦…「20年で4,800万円をつくる」家計管理術【FPからのアドバイス】 (※写真はイメージです/PIXTA)

給料日に長蛇の列を作る主婦たち

毎月25日、ショッピングモールのATMコーナーを覗いたことがあるでしょうか。複数の銀行・信用金庫のATMが集まっているコーナーです。そこには沢山の預金通帳と大きな財布を持った女性が行列を作っています。最初に目撃したとき、筆者はそれがなんなのかまったくわかりませんでした。よく考えてみると、25日は多くの企業の給料日です。女性達は一家の主婦で、夫の給料を記帳して確かめ、お金を引き出してからそれぞれの目的の通帳に移し替えているのだと気づきました。

 

このキャッシュレスの時代にネットバンキングではなく、クレジットカードや電子マネーでもなく、ATMで現金の移し替えをしている姿にまず驚きました。しかしそれ以上に強く思ったのは、「なぜ女性だけなのか」ということです。そこには男性の姿はありません。全員女性です。

 

おそらく「お金の管理は女性がするもの」という古い時代のジェンダーロール(性別の役割)に従って、主婦がお金の管理をしているのでしょう。戦後から平成の始めにかけてはそれが当たり前のように思われていました。「しっかり者の奥さんが家計をがっちり握る」という表現は、堅実な家計運営であるという意味だったと思います。ところがこの古いジェンダーロールは、現代において家計の破綻危機を招いている現状があるのです。

世代で変わる家計の握り手

弊社の相談会では、相談者に家計の詳細を質問しています。毎月の収支を正確に把握し、キャッシュフローを分析するためです。食費、光熱費、外食費、生命保険料、携帯料金、学校納入費など詳細に支出をお訊きしていますが、これを夫と妻のどちらが答えるのかというと、実は年齢層によって異なります。

 

20代~30代前半の夫婦は、家計簿アプリをみながらふたりで答えるケースが9割以上です。家計の詳細がふたりで共有されていることがわかります。

 

一方で40代以上の夫婦の場合、大半は妻が答えます。40代の夫に「食費はいくらですか」と訊いてみると、高い確率で答えることが出来ません。妻しか家計の詳細を知らないのです。住宅ローンを夫の単独債務として借りているにも関わらず、夫は毎月何にいくらかかっているのか家計の収支を正確に知りません。妻はこのことを当然としています。自分が完全に掌握しているお金のことについて、夫に口出しをされたくないのです。夫は自分の給料を全て妻に渡し、妻から毎月「おこづかい」をもらって生活しています。夫は「妻に任せておくのが無難」と考え、妻は「自分がお金を全て把握することで安心できる」と考えているのです。