(※写真はイメージです/PIXTA)

40代を過ぎると、膝の痛みを訴える人が増加します。しかし、「膝の痛み」とひとことでいっても、原因や疾患はさまざま。なかには、放置すると歩行困難になったり、人工関節の置換術が必要になったりするケースも……では、一体どのような痛みに注意すればいいのでしょうか。世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏先生が解説します。

膝は人間のあらゆる動きを支える重要な関節

立つ、歩く、屈む、登るなど、人間のあらゆる動きに関連している膝。体重を支えるとともに地面から足への衝撃を吸収するなど、重要な働きを担っています。そのため、膝にトラブルが生じることも多く、特に、加齢に伴って発症リスクは高くなります。

 

では、膝の疾患は具体体的にどのようなものがあるのでしょうか。

 

急激な痛みが出たら要注意…「特発性膝骨壊死」とは

まずはじめに紹介する代表的な膝の疾患は、特発性膝骨壊死。正式名称は「大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)」といい、正確には膝関節の疾患ではなく、膝関節に接している大腿骨と脛骨の顆部(かぶ=先端部)の組織が壊死する病気のことをいいます。

 

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[図表1]特発性膝骨壊死

 

壊死が起きる原因としては、原因が解明されていない「特発性」と、ステロイドの大量投与などが原因で起きる「2次性(続発性)」がありますが、一般的に多いのは「特発性」です。

 

特発性膝骨壊死になると、夜間や安静時など、何もしていない状態でも膝に急激な痛みを感じることがあります。

 

これは「変形性膝関節症」(参照記事:50歳以上の2人に1人が発症する「変形性膝関節症」…じつは自宅で治療可能?【専門医が解説】)と混同しやすいのですが、変形性膝関節症は歩いたり、階段を昇り降りしたりするときに痛みが生じるのに比べ、特発性膝骨壊死は何もしていない状態でも痛みがあるという特徴があります。

 

好発年齢は60〜70代の女性に多いものの、80代で発症するケースもあります。

 

「特発性膝骨壊死」の原因と2つの治療方法

特発性膝骨壊死の原因は、いまだはっきり解明されていません。しかし最近では、加齢により弱くなった骨に体重の負荷がかかることで、大腿骨や脛骨の先端部分で何度も骨折が起き、その傷が治り切らずに壊死になったという説が有力だとされています。

 

実際、患者さんのレントゲンを撮影すると、大腿骨の内側が知らないうちに骨折していたということも少なくありません。

 

治療方法は変形性膝関節症と似ていて、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」があります。一般的に、初期段階の場合、消炎鎮痛剤を服用しながらヒアルロン酸を注射したり、運動療法で膝周辺の筋肉を強化したり、保存療法が行われます。

 

症状が進行している場合は、壊死している大腿骨先端部や脛骨を薄く削り、金属やポリエチレンなどから作られる人工関節を取り付ける「人工関節置換術」や、骨を切って荷重軸を変える「高位脛骨骨切り術」が行われます。

 

また、若い患者さんの場合には、壊死した部分を除去してから幹細胞治療により骨壊死の修復をはかる再生医療を行うこともあります。

 

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