相続財産に占める不動産の割合
平成27(2015)年に税制改正によって相続税の基礎控除が引き下げとなり、その結果、相続税の申告が必要になった方が増加傾向になっています。
また令和元(2019)年12月に国税庁から公表された「平成30年分 相続税の申告事績の概要」(図表1)によると、平成30(2018)年に亡くなった約136万人のうち、相続税申告の対象となったのは約11万6000人となっています。
また相続財産の総額は16兆2360億円となっており、そのうちの相続財産金額の構成比として不動産(土地建物)の割合が4割ほどとなっています。年々相続財産に占める不動産の割合は減少をしていますが、相続財産の中でも不動産は大きな比重を占めています。
家族に残したい財産は?
一般社団法人 全国住宅産業協会から発表された、一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の住宅所有者を対象とした「住宅所有者の維持管理と老後生活・資金に関する意識調査」によると、「あなたは、ご家族に資産を残したいと思いますか。それとも、ご自分や配偶者で使いたいと思いますか」について、「自分や配偶者で使いたい」が約45%、「家族に残したい」が約28%となっています(図表2)。
また「あなたは、どんな資産をご家族に残したいと思いますか」について、金融資産(現金・預金・株式・国債など)に次いで、土地・建物などの不動産を残したいと思っている割合が高くなっています(図表3)。
空き家の問題
一方で昨今では相続不動産の空き家問題が取り沙汰されており、ニュースなどで目や耳にする機会も増えているかと思います。実家に住んでいた両親が亡くなり、誰も住まなくなってしまった家をどうしたらよいかと相談を受けることも多くなってきています。
平成31(2019)年4月26日総務省統計局の平成30年住宅・土地統計調査によると、空き家数は846万戸となっており、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%と過去最高となったようです。空き家数の推移としては昭和63(1988)年から平成30(2018)年までの30年間で452万戸増加をしているようです。
空き家は相続をしたものの相続人が住まなかったり、不動産が共有により処分が難しかったりなど、様々な理由によって放置されていることがあります。
放置されることにより、犯罪(放火・不法占拠)や災害(火災・台風)などによる倒壊のリスクが高くなります。利用をしなくなった不動産がそのまま空き家になるケースが多くなり、今後も年々増加をしていく可能性があります。