国民年金の保険料納付期間は20~60歳の40年間とされていますが、少子高齢化による受給水準の低下の恐れから65歳までの延長を検討とニュースになり、ネットを中心に反発の声があがっています。大きくなるばかりの社会負担。それに対し「欧米に比べて日本はまし」という声も。本当なのでしょうか。みていきましょう。
5年で100万円の負担増「国民年金納付延長」に罵詈雑言…小手先の負担減に「ふざけるな!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

国民年金保険料…納付期間「40年→45年」に変更が濃厚に

政府が、国民年金の保険料納付期間を、現行の20~60歳の40年間を、65歳までの45年間とする検討に入ったと報じられたことをうけ、ネット上では厳しい意見が相次いでいます。

 

今回の検討、少子高齢化で受給額の水準が低下するのを何とか食い止めようとするもの。会社員であれば企業の雇用延長などで65歳まで働く人が多く、その場合保険料を払っているため負担は変わりません。一方で、自営業者や60歳で引退した会社員などは、負担が増えることになります。

 

厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会は、10月中に議論に着手し、2024年には結論を、翌2025年には国会での改正法案提出を目指すとしています。

 

——日本の年金制度は100年は安心・安全の設計

 

そう、ことあるごとにアピールしてきましたが、想定以上に財政が厳しいのでしょう。先月には国民年金の受給水準5万円台をキープするために、厚生年金保険料での埋め合わせを検討すると報道されるなど、年金に関して国民の負担にまつわるニュースが相次ぎ、非難の声が大きくなっています。

 

実際に国民年金保険料の納付が5年間延長されると、どれほどの負担増になるのでしょうか。現行の保険料は月々1万6,590円ですから、そこから単純計算すると5年で99万5,400円。元会社員や自営業者は100万円弱の負担増となります。

 

それに対して、国民年金受給額は満額で月6万4,816円(年77万7,792円)。すべて現行の金額で計算すると、20~60歳まで保険料を払っていたら、「受給額>保険料」となるのは10年強。つまり75歳を超えると「保険料を払ってきたかいがあった」となります。

 

一方、20~65歳まで保険料を払ったとして、「受給額≻保険料」となるのは11.5年。65歳から年金を受け取れるとすると76歳と半年を過ぎると、お得感を覚えることになります。厚生労働省『第23回生命表(完全生命表)』によると、男性が77歳まで生きられるのは71.8%。つまり7割は払った以上に年金を受け取れるということ。しかし残り3割は「保険料>受給額」となり、納得できない結果に。また年金受給開始年齢が引き上げられるという議論もありますから、若い人ほど「いったいどれだけ生きたら……」と途方にくれそうになるでしょう。