国民年金は月々1.6万円ほどの保険料ですが、収入が低い身としては、その負担は決して軽くはありません。特に学生であれば、死活問題という場合も。そこで利用したいのが「学生納付特例制度」ですが、勘違いしている人が多い制度でもあります。みていきましょう。
年金月17万円のはずが…「学生納付特例制度」を利用した会社員、知らずに犯した大失敗 (※写真はイメージです/PIXTA)

学生納付特例制度の利用で、知らず知らずに「年金未納」に

学生をサポートする「学生納付特例制度」ですが、ここで多くの人が勘違いしているのが、あくまでも納付が猶予される制度であり、保険料の納付が免除されたわけではない、ということです。国民年金の受給額は納付期間に応じて変わるので、この制度を利用し、あとで保険料を支払わなかった場合、その月数に応じて減額されます。

 

現行、1年間の未納で約2万円、2年間なら約4万円、3年間なら約6万円が減額されます。10年間で猶予された保険料を超えてしまう、というわけです。

 

そうならないためにも社会人になって、給与を得るようになったら、保険料の追納をしたいところ。この制度での追納可能期間は10年。20歳になってすぐにこの制度を利用したのなら、30歳までに追納しなければならない、ということです。

 

この事実に気づかずに、「いつの間にか未納状態」のまま、という人は案外多いといいます。60歳の定年でも気づかず、65歳で年金を受け取る段階になってから「あれ、年金、なんか少ない……」と気づくというような悲劇が生まれようとしているのです。

 

——追納期間が過ぎてしまった

 

すでにそう後悔している人もいるかもしれません。そんな場合に利用したいのが、「任意加入制度」。これは保険料納付済期間が40年に達しておらず、国民年金を満額受給できない人のための制度で、申請により60歳~65歳まで加入できます。ただし保険料納付済期間が480ヵ月に達したら、それ以上は加入できません。定年後のほうが若いときよりも余裕がある、というケースも多いでしょう。追納ではなく、意識的にこちらの制度を利用するのも手です。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均受取額月額14万6,145円。65歳以上に限ると男性平均が17万0,391円です。これで十分かどうかはさておき、収入が年金しかないという不安定な状況下、少しでも年金は増やしておきたいもの。いまいちど保険料の納付状況を確認し、手遅れにならないうちに、対策を講じておきたいものです。