(※写真はイメージです/PIXTA)

世界一の長寿国である日本。核家族化が進んだ現代において、高齢者世帯の約半数は「1人暮らし」となっています。こうしたなか、将来的に「独居高齢者の認知症」が増えることにより、さまざまなトラブルに発展する可能性があると、MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博氏はいいます。将来自分や家族がトラブルを起こさなくて済むよう、元気なうちにどのような対策がとれるのでしょうか、みていきます。

「支援を受けられる体制」を作っておくことが大切

前述のように、独居高齢者が認知症になってしまった時に大きなリスクがあります。こういったリスクに対して、まだ元気なうち(認知症になる前)に、どのような対策ができるのでしょうか。

 

家族の同居または近居

1番の方法は、やはり家族との同居です。身近に頼れる人がいるというのは、高齢者の安心につながりますし、人とのコミュニケーションを取ることによる認知症の進行予防効果も期待できます。

 

一方、なかには家庭の事情で同居を望まない家庭もあると思いますが、その際は近居という選択肢があります。お互いの生活リズムを崩さずに生活ができ、何かあった時にはすぐに駆け付けられるちょうどいい距離感をとることで、お互いが過剰なストレスを抱くことなく生活することができます。

 

親世帯との同居・近居に対して補助金制度がある自治体もあります。申請条件などは、自治体によって独自に定められていますので、ご利用の際はご確認ください。

 

高齢者向けサービスの利用

最も使われているのは民間の自宅見守りサービスですが、それ以外にも住んでいる地域の独自の高齢者向けサービスを利用することができます。

 

自治体によりサービス内容は異なりますが、一例としては食事宅配、ゴミ出し支援、電話訪問(週1回程度で安否確認や話相手をしてくれる)などがあります。

 

介護保険の利用

要介護認定を受けている方であれば、介護保険サービスの利用が可能です。

 

訪問介護(食事や洗濯などの家事のサポート)、デイサービス(日中に他の人と関わりながらアクティビティを過ごす)、有料老人ホーム(全面的な介護サービス)などのサービスをお身体の状態や希望により組み合わせて利用することが可能です。

 

費用はさまざまですが、基本的に1~3割の自己負担で利用ができます。また、介護認定を受けていない方や要支援1・2の方であっても介護予防サービスの利用が可能です。

 

興味がある方は市区町村の窓口または地域包括支援センターへご相談ください。

 

積極的に他人と関わる機会をつくる

上記のサービスを利用するのに並行して、リスクを軽減するための対策はできます。それは多くの他人と関わる機会を作ることです。

 

人と触れ合い、身体や脳を活発に動かすことで、介護度や認知症の進行を防ぐことが期待できます。ご近所づきあいをしたり、共通の趣味の友人をつくったりイベントに参加するなどをお勧めします。

 

いずれにしても、独居高齢認知症が増えつつあることをしっかりと認識し、早めに準備をすることが大切です。

 

100年時代を迎える日本においては、独居高齢の方の認知症が増え、さらなる社会問題となることが予想されます。

 

しかし、認知症を予防するための行動に取り組んだり、どのような支援が受けられるのかを知ったりすることで、早めに予防手段を講じることができれば、認知症リスクを低減することができるのです。

 

 

山本 康博

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい

院長
 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走