給与があがらない……そんな会社員のぼやきは、この30年、ずっと続いてきました。一方、海外に目を向ければ、年を追うごとに平均賃金はあがっています。なぜ日本だけが賃金はあがらないのか、みていきましょう。
平均給与460万円…昭和の美徳が招いた「会社員の給与、30年間据え置き」という悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

30年で「賃金」は上がらないが「労働時間」は減少

サラリーマンの賃金が上がらない……たびたび話題になっているこの問題。OECDの資料によると、世界主要国の平均年収ランキングで、2021年、日本は40,489米ドルで34ヵ国中20位。1ドル=114円換算で460万円ほどでしょうか。

 

経年でみていくと、1993年、日本は40,253米ドルで同ランキング2位(対象23ヵ国)。その後、多くの国が平均年収が上昇していくなか、とりわけ日本は低迷。90年代のまま取り残された、世界でも稀有な存在になっています。

 

【世界主要国「平均年収」上位10】

1位「スイス」98,229米ドル

2位「アイスランド」92,176米ドル

3位「ルクセンブルク 83,320米ドル

4位「米国」74,738米ドル

5位「デンマーク」73,553米ドル

6位「ノルウェー」72,740米ドル

7位「オーストラリア」66,802米ドル

8位「アイルランド」61,119米ドル

9位「オランダ」60,326米ドル

10位「カナダ」59,155米ドル

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20位:「日本」40,489米ドル

 

出所:OECD(2021年)

 

日本人は元来、よく働くことは、国民であるわたしたちが自負するところ。バブル期には「24時間、働けますか?」が流行語になるなど、長時間働くことが美徳とされてきました。とはいえ、時代は変わり、国を挙げて長時間労働の是正に取り組んできました。その結果、2021年、日本の年間労働時間は1,607時間で、世界主要国44ヵ国中27位。90年代初頭にはベスト10に入っていましたから、随分と意識改革も進んだ感があります。

 

【世界主要国「年間労働時間」上位10】

1位「メキシコ」2,128時間

2位「コスタリカ」2,073時間

3位「コロンビア」1964時間*

4位「チリ」1,916時間

5位「韓国」1,915時間

6位「マルタ」1,882時間

7位「ロシア」1874時間*

8位「ギリシャ」1,872時間

9位「ルーマニア」1,838時間

10位「クロアチア」1,835時間

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27位:「日本」1,607時間

 

出所:OECD(2021年)

*は2020年数値