タワマンに住むことに憧れる人は少なくありません。エリート証券マンのA氏もそのうちの1人で、「タワマンに住んでいる」ことをステータスのひとつとして華やかな交友関係を楽しんでいました。しかし、あるきっかけから「破産の危機」に陥ってしまいます。そのワケは、A氏の悲劇とその後の生活をみていきましょう。
年収900万円、30歳エリート証券マンの凋落…余裕のタワマン暮らしから一転、破産の危機 (※写真はイメージです/PIXTA)

タワマン売却で「1,500万円」の利益…なぜ?

購入して2年ほど住んでいたタワマンだったが、赤字を出さずに売却できればと思っていたところ、まさかの「1,500万円プラス」で売却ができた。購入した2020年夏ごろはちょうどコロナ不況とオリンピック前の値下がり時期で、1~2割ほど安く購入できていたそうだ。

 

その後、オリンピックが終わっても不動産価格は下がらず、コロナ不況からも回復してきた当時、購入時より不動産市場は2~3割上昇していたのだ。

 

これにはかなり驚いたが、幸運にもA氏はこの1,500万円を活用し、なんとか千葉に築30年の3LDKマンションに引っ越すことができ、家族4人と義母と同居する運びとなった。

 

しかし、もう独身のころのように華やかな生活はできないとA氏は考えた。節約生活のなかで残ったお金はすべて貯金にまわし、このままつましい生活が続くのかと悲観する日々が続いている。

節約・貯金では防げない…破産の危機を救う「不動産投資」

このケースでは偶然にもマイホームによって売却益を得ることができたが、通常の不動産投資でも同じことがいえるのではないかと考え、久しぶりにA氏は筆者に連絡をしてきたのだった。

 

「異次元金融緩和」と「マイナス金利政策」により、大手企業に1年以上勤務し年収が500万円を超えている場合だと、不動産投資の融資を受けやすい。しかし、活用している人が非常に少ないのが現状だ。

 

また、不動産投資は生命保険代わりになることも知られていない。

 

不動産投資で銀行融資を受ける場合、「団体信用生命保険」に加入するのだが、これにより融資を受けた人に万一のことがあった場合に保険から残債が完済されるため、借金のない不動産を遺族に残せるようになっている。

 

さらに死亡だけではなく、今回のような要介護状態や長期の生活習慣病、がん等と診断されても完済されるため、一般の生命保険に加入するよりも非常に安く同等以上の保障を得ることができるのだ。

 

A氏のように働き盛りであり子育て世代でもある30~40代の期間はなかなか貯金を増やしていけない一方、銀行融資を活用して資産を増やすことができるよう、金融や経済の仕組みが設計されている。

 

また、不動産価格が上がっていたのは過去のことと思われがちだが、中長期的には不動産価格は上がり続けている。

 

むしろ下落が続いたのはバブル崩壊後の1990年~2000年ごろの10年ほどだけで、その他の期間、価格は上下に揺れながら緩やかに上昇を続けている。

 

それもそのはずだ。世界規模でお金の量は増え続け、経済も成長を続け、物価も上昇し続け、米国は利上げを決定している。日本の物価も中長期的には上昇が続くのは当然のことなのだが、長引く不況でインフレ経済の感覚が薄れてしまっているのかもしれない。

 

9月21~22日に行われた日銀の金融政策決定会合でも、現状の大規模な金融緩和政策の維持が決定された。今後2~3年間続ける意向も示されており、実に2013年から10年以上続く見通しである。

 

私たち日本人もそろそろインフレマインドに切り替え、節約と貯金だけで老後資金を準備するのは困難だと認識しなければならない。

 

 

伊豫田 誠

FP事務所ストラット

代表/不動産投資専門ファイナンシャルプランナー