株式投資において、銘柄選定をおこなううえでの知識はもちろん重要です。しかし、プロ投資家のような玄人と、投資をはじめたばかりの素人には知識以外に決定的な違いがあると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。はたしてその違いとはなにか、みていきましょう。
「知識がすべて」は大間違い!…株式投資「玄人」と「素人」の決定的な違い【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

投資で成功するためにはリスク管理能力が必須!

安定して収益を上げているプロの投資家に共通することは「リスクマネジメントを適切に行えていること」です。プロの株式トレーダーの取引は非常にシンプルで地道なものです。しかし初心者トレーダーは一攫千金を狙うような派手な取引に憧れを抱きがちです。

 

利益が安定しているプロの投資家を目指すのであれば、適切なリスクのとり方を学ぶ必要があります。今回は投資初心者がおろそかにしがちな適切なリスクのとり方を解説していきます。

コツコツドカンはリスクマネジメントをしていない証拠

多くの投資初心者が経験する「コツコツドカン」はリスクマネジメントを上手く行えていない証拠です。コツコツドカンとはいままで積み上げてきた利益を1度の取引で失ってしまうようなトレードを意味します。

 

コツコツドカンをしてしまうプロのトレーダーは存在しません。プロのトレーダーは1つのトレードで取るべきリスクを事前に決めていて、損切り注文をエントリーと同時に行っています。事前に損切りの場所を決めることによって、自分の感情に左右されることのないトレードを実現させています。

 

それに対してリスクマネジメントのできていない初心者トレーダーは自分の気分によって利益確定や損切りの場所を決める傾向にあります。利益確定の場合は上手く進むことがありますが、自分の感情を軸とした損切りは悲惨な結果を招く場合がほとんどでしょう。

 

「あと少し含み損が減ったら損切りしよう」、「ここで損切りしたら今月の収益がマイナスになってしまう」などの考えがよぎるため、なかなか損切りできないトレーダーが誕生してしまいます。

 

こうしたトレーダーは相場が思う方向に進まなくなればなるほど視野が狭くなり、最終的にこれまでの利益を吹き飛ばしてしまうような損切りをすることになるのです。

トレードで5回連続損切り、資産の10%を失ったら?

実際に適正なリスクの範囲を考える際に考えるべきポイントがあります。自分が株式投資において5回連続で損切りし、証券口座にある資産の10%を失ってしまった場合、どのような精神状態に追い込まれるかという質問です。

 

リスクマネジメントを怠っているトレーダーは自分の資産が10%も失ってしまったら、正常な取引判断ができないでしょう。また、失った損失分をいち早く相場から回収するためにより多くの資金を投じる可能性があります。度重なる損切りに対応できず、自分の能力以上にリスクを取ってしまうのが追い込まれた初心者トレーダーがやりがちな行動です。

 

それに対し、リスクマネジメント能力のあるプロのトレーダーはたとえ5回連続で損切りすることがあっても自分のリスク管理能力以上の取引をすることはありません。逆にいままで以上にリスクを限定した小規模な取引を心がけるようになります。

 

損失を取り返すことよりも自分のメンタル管理を優先し、相場に対するリスク管理を考えるのがプロのトレーダーです。

 

いまの自分に「5回連続で損切りし、証券口座にある資産の10%を失ってしまった場合、どのような精神状態に追い込まれるか」という質問を投げかけて、いち早く損失を取り返したいという感情が少しでも芽生えたのであれば、リスク管理について今一度考える必要があるでしょう。