所得と貯蓄額は比例する……通常そのように考えてしまいそうですが、「なぜかお金が貯まらない」と悩んでいる高所得者も少なくありません。今回、FP Officeの髙屋亮氏が、世帯年収が同じある2組の夫婦の事例を取り上げ、お金が「貯まる人」と「貯まらない人」の違いを解説します。
世帯年収1,000万円でも…お金が「貯まる人」と「貯まらない人」の決定的な差 (※写真はイメージです/PIXTA)

貯蓄のコツ3.「目標への動機づけ」

なにごとも、「続ける」には動機づけが不可欠です。

 

2020年度の日本の投資信託の平均保有期間は、わずか2年半程度。中途解約不可のDC(確定拠出年金)が4.5年まで伸びたことに対比すると、強制力が弱いつみたてには目標設定が重要とみえます。

 

Aさんの場合は、「住宅ローンの繰上返済」を目標にしました。作成したライフプラン上、35歳からの35年ローンで完済年齢が70歳であることに不安もあり、繰上返済で55歳まで短縮するための準備も希望しましたが、55歳時点の残債は2,400万円。つまり、35歳から20年×120万円の積立が必要です。

 

そこで、つみたてNISAの額を決めかねていたAさんへ「年4%運用を見込むなら、夫婦2人で満額の年80万円×20年続けることで2,400万円まで伸びる」と伝えたところ、すっと腹落ちしたようで迷いなく実行されました。これが消費性向「月7万円(年80万円)」の着地点になります。

 

ご本人が納得できる意義を見出せることが、継続の源泉です。

 

まとめ…貯蓄は目的ではなく「手段」

今回は貯めるためのお話を書きましたが、貯蓄は目的ではなく手段です。

 

いまやりたいこと・未来への備えのバランスは人それぞれですので、要所で人生計画を俯瞰してみると頭が整理され、前を向きやすくなるのではないでしょうか。

 

 

髙屋 亮

FP Office

ファイナンシャルプランナー