母子世帯の平均年収は200万円…半数が非正規社員
経済的に厳しいひとり親世帯。ここに来てこの物価高、特に所得の低い世帯への打撃は深刻です。
——お米さえ買えません
——お肉がある日はご馳走
——財布には小銭しかない
SNS上には、ひとり親世帯の厳しい現状を訴える声が。少々古いデータになりますが、厚生労働省が平成28年に行った『全国ひとり親世帯等調査』によると、ひとり親世帯のうち、父子世帯は平均年収は398万円。それに対し、母子世帯は200万円。養育費の受取は父子世帯の3.2%、母子世帯の24.3%。圧倒的に、「母と子のひとり親世帯」が経済的に厳しいといえるでしょう。
「父と子」と「母と子」。どちらもひとり親世帯のはずなのに、なぜこんなにも差が生じるのでしょうか。そのひとつの要因と考えられるのが雇用形態。父子世帯のうち、89%が正規社員。それに対し母子世帯では47%。母子世帯の過半数が非正規社員なのです。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、女性・非正規社員の平均給与(所定内給与額)は月19万5,400円。中央値は18万4,100円。手取りにするとわずか14万円です。基本的にこれで母子は生きていかなければなりません。「米がない」「肉魚がご馳走」というのも納得の水準です。
またひとり親世帯の貧困線(世帯の可処分所得の中央値以下)は、2018年で127万円とされています。月10万5,000円程度。前出のとおり、日本のひとり親世帯の貧困率は48.4%と過半数ですから、ひとり親世帯の半数は、たった月10万5,000円でやりくりしなければならないわけです。
もちろんすべてのひとり親世帯が経済的に困窮しているわけではありませんし、養育費や給付金などで、十分に暮らしていけるひとり親は多くいます。ただ「毎日生きていくだけで精いっぱい」というひとり世帯は私たちの知らないところで大勢いることを、忘れてはなりません。