たびたびニュースになる、有名人のスキャンダル。イメージダウンにより、しばらくメディアから消えたかと思ったら、「介護の仕事を頑張っている」などと報じられ、「そろそろ許してあげたら」という声が大きくなる……そんなパターンが定番化しています。一方で、当事者である介護業界の人たちからは不平不満も。みていきましょう。
手取り月19万円…「ふざけるな!」スキャンダル芸能人の免罪符にされる「介護職」の憤り (※写真はイメージです/PIXTA)

介護業界はキツイ、もう辞めたい…は本当か?

給与水準は低めの介護職。ただ高齢化に伴い需要は増加。慢性的な人手不足にあります。公益財団法人介護労働安定センター『令和3年度 介護労働実態調査』によると、介護事業所の63.0%で「人材不足」と回答。5年前の2017年には66.6%だったので改善傾向にあるといえますが、問題解消に向かっているとは言い難い状況です。

 

一方で「介護業界は離職率が高い」というイメージがありますが、こちらは改善傾向にあるといえ、同調査では2021年度で14.3%。前年より0.6ポイント低下しました。経年でみてみても、ピークの2007年21.6%の約2/3に。全産業の平均離職率は15%強といわれているので、他業界と大差のない水準まで改善しています。

 

また「今の勤務先で働き続けたい」という勤続意欲についても、2017年56.9%→57.3%→58.9%→60.2%→2021年61.2%と、5年連続で前年を上回っているといます。さらに「前職あり」75.7%のうち、「前職は介護・福祉・医療関係以外」が63.1%と、介護以外からの人材流入が多くなっています。

 

需要増から慢性的な人手不足があるものの、雇用環境は改善傾向あり、意欲や使命感をもって働く人が多い介護業界。確かに当事者からすると「有名人の禊」として語られるのは、少々癇に障るかもしれません。

 

そんな介護業界で働く人たちの悩み・不平不満で最も多いのが、やはり「人手不足」で52.0%。過半数を超えています。また「仕事のわりに賃金が低い」38.6%、「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」30.6%、「有給休暇が取りづらい」26.8%など、人手不足とそれを要因とするであろう労働環境、そして賃金に対するものが多くを占めています。

 

また「業務に対する社会的評価が低い」が26.0%。これは「贖罪介護」が良しとされていることへの不平不満ともいえるでしょう。

 

超高齢化社会下にある日本。その割合は、今後さらに上昇するといわれています。必然的に介護の需要は高まり、なくてはならない仕事になるでしょう。人手不足の解消、賃金の底上げ、さらにはイメージの向上も必須。課題は山積みです。