たびたびニュースになる、有名人のスキャンダル。イメージダウンにより、しばらくメディアから消えたかと思ったら、「介護の仕事を頑張っている」などと報じられ、「そろそろ許してあげたら」という声が大きくなる……そんなパターンが定番化しています。一方で、当事者である介護業界の人たちからは不平不満も。みていきましょう。
手取り月19万円…「ふざけるな!」スキャンダル芸能人の免罪符にされる「介護職」の憤り (※写真はイメージです/PIXTA)

スキャンダルを起こした有名人の禊とされる介護職…その給与は?

——スキャンダルを起こした芸能人が介護士資格を取得

——介護施設に勤務。禊、終了か?

 

このようなニュースを耳にしたことがあるでしょう。自らアピールしているのか、それとも芸能誌が取材をして判明したのか、定かではありませんが、何かと問題を起こした有名人が、反省の姿勢を見せようと介護関連の仕事をするというのは、よくあるパターン。「贖罪介護」とはよくいったものです。

 

このことには賛否両論あるでしょうが、ニュースを聞いた人からは「頑張っているのだから、そろそろ許してあげれば」などという声が上がり、知らぬ間にメディア復帰をしている、というのもよくあるパターンです。

 

不祥事を起こした有名人が介護に従事することに対し、当の関係者からは「介護を禊の道具にしないでほしい」とか「介護職を馬鹿にしている」、「介護職の苦労がより強調され、マイナスのイメージを与えかねない」など、あまり歓迎されているとはいえない声があがっています。

 

確かに介護には「福祉」のイメージが強く、善行などで罪を償う贖罪に利用されるのも無理のない話。また介護がいかに大変なものか、体力的にも辛いことはよく知られていますから、周囲が「介護で頑張ったんだから、許してあげる」という気持ちになるのも仕方がないことかもしれません(そもそも、世間に許してもらう、ということに違和感を覚える人もいるでしょうが)。

 

「介護=大変」というイメージが世間に浸透し、介護職が免罪符代わりになりやすい現状。介護の現場の実情を各種資料からみていきます。

 

まず、介護職の給与はどれほどなのでしょうか。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』で、介護職とされる、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「訪問介護従事者」「介護職員(医療・福祉施設等)」についてみていきます。

 

3職種で最も給与が高いのは「介護支援専門員(ケアマネージャー)」。分類145職種のうち、推定年収は96位。月収(きまって支給する現金給与額)は28万7,400円、手取りはおよそ22万円。推定年収は409万7,300円。「訪問介護従事者」は119位で、月収は26万7,500円、手取りはおよそ20万円。推定年収は364万0,000円。「介護職員(医療・福祉施設等)」は123位で、月収25万0,600円、手取りはおよそ19万円。想定年収は352万8,000円。

 

同調査の会社員の想定年収(男女計、学歴計)は平均489万3,100円なので、介護職は平均を下回る給与水準といえるでしょう。