(※写真はイメージです/PIXTA)

「認知症」の前段階を示す「軽度認知障害(MCI)」という言葉があるのをご存知でしょうか。認知症と診断された場合、元の状態まで回復することは困難ですが、MCIの段階で適切な対策を行えば約半数が復調する可能性があると、MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博氏はいいます。今回は、そんな軽度認知障害(MCI)の具体的な症状やチェックポイント、予防法について解説します。

認知症の“前段階”を示す「軽度認知障害(MCI)」

近年、認知症の前段階の症状を表す「軽度認知障害」という用語がよく使われるようになってきました。英語では「Mild Cognitive Impairment」と呼ばれ、略語の「MCI」も軽度認知障害を表す言葉として使われています。

 

これは、「認知症とまではいかない状態だが健常とはいえず、かつ、数年後には認知症に進行する可能性がある」という状態を表しています。

 

認知症の段階まで進行してしまうと、進行を抑えることはできても健常の状態まで回復することはできなくなってしまうため、早期発見・早期治療が重要です。そこで、そもそも認知症の状態に至る前の段階で気づけるようにしようという考え方に基づき、注目されるようになったのが「軽度認知障害(MCI)」です。

 

2017年6月に「国立長寿医療研究センター」が発表した研究によると、MCIの高齢者を4年間追跡調査したところ、MCIをそのまま放置していると認知機能の低下が進み、約14%が認知症に進むことがわかりました。

 

一方、MCIになったとしても、適切な対策や処置を行えば、約46%が健常者と同じような状態にまで回復することも合わせて報告されています。

 

軽度認知障害(MCI)の「4つの分類」

MCIは、症状によって以下の4つの状態に分けられます。

 

1.記憶障害があり、認知障害が記憶のみ
……「健忘型MCI・単領域障害」
……進行すると「アルツハイマー型認知症」になる可能性が高い

 

2.記憶障害があり、認知障害が記憶以外にもある
……「健忘型MCI・多領域障害」
……進行すると「アルツハイマー型認知症」、または「脳血管性認知症」になる可能性が高い

 

3.記憶障害がなく、それ以外の認知障害が1つのみ
……「非健忘型MCI・単領域障害」
……進行すると「前頭側頭型認知症(ピック病)」になる可能性が高い

 

4.記憶障害がなく、それ以外の認知障害が複数ある
……「非健忘型MCI・多領域障害」
……進行すると「レビー小体型認知症」、または「脳血管性認知症」になる可能性が高い

 

記憶障害があるかないか、また、認知障害が1つだけか、複数にわたっているかがポイントです。記憶障害がある場合は放置していると「アルツハイマー性認知症」に進行する可能性が高く、認知障害が複数にわたっている場合は「脳血管性認知症」に進行する可能性が高いといえます。

 

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