本記事では、ニッセイ基礎研究所の熊紫云氏が、老後のための2,000万円をどうやって確保するか、考察していきます。
老後のための2,000万円をどうやって確保するか-目標金額の2,000万円を超えたら、何をすべきか (写真はイメージです/PIXTA)

4——投資期間中に2,000万円を超えた時に考えるべきこと

25年間を想定して、投資期間中に目標金額を超えた場合には、目標金額を確実に確保したいと思う人は、全額を低リスクのバランス型や元本確保型にするのが良いと述べたが、低リスクのバランス型と元本確保型のどちらを選んだら良いのか?

 

ここでは残りの投資期間を判断基準の一つとして説明する。毎月2.5万円と3万円積立投資の場合で残りの投資期間が異なる。ご参考までに2,000万円を上回る時点での残りの投資期間(25年-2,000万円を上回った時点での投資開始からの経過期間)の平均を計算してみた。毎月2.5万円の場合は平均で2年4か月、毎月3万円の場合は平均的で4年1か月であった。

2,000万円を超え

た時点で残りの投資期間がある程度長い場合は、中長期的に高いリターンが期待できる資産と言われる外国株式が組み入れられるバランス型にすれば、目標金額を確保しつつも、最終的な時価総額が目標金額よりも比較的高くなることが期待できる。

 

一方で、残りの投資期間がかなり短い場合は、投資期間終了直前に予測できない株価急落が起きると株価の回復を待っていられないので、安全資産のみの元本確保型にして、目標金額をより確実に確保しておくことを優先すべきである。また、残る投資期間が長いか短いか判断できない場合は、元本確保型をおすすめする。

 

このように2,000万円を超えた時点では残りの投資期間を考慮すべきだと述べたが、実際に判断する際には、残りの投資期間に加え、各人の年齢、健康状態、財産状況やその時の金融市場環境等を勘案することも重要である。

まとめ

このレポートでは、老後に備え、25年間の積立投資で2,000万円を目標金額とすることを前提に具体的にどうしたら良いのかについて考えてみた。

 

その結果、2,000万円を投資期間25年である程度確実に達成するには、外国株式型に毎月3.5万円以上を積立投資する必要があったことが分かった。毎月2万円だと達成は難しかった。

 

毎月の積立金額が2.5万円や3万円の場合は投資期間中に目標金額の2,000万円を超えながらも、最終的な時価残高が2,000万円を下回るという非常に残念なケースが多かった。この場合、2,000万円を超えた時点で、全額を低リスクのバランス型や元本確保型にすることで目標達成割合を大幅に改善することができた。

 

この結果を踏まえると、投資期間中に目標金額の2,000万円を達成した時には、残りの投資期間に加えて、その時の各人の年齢、財産状況や金融市場環境等を勘案することも重要ではあるが、残りの投資期間が短ければ躊躇せずにリスクの低いポートフォリオに移行すべきである。

 

一方で、これまで繰り返し述べてきたが、老後までの投資期間が長い若い人の場合は、長期・積立投資のメリットを生かし、リスクを積極的にとって、外国株式型などの高いリターンが期待できる商品に投資した方が良い。その方がより効率的に資産を増やすことができ、目標金額を達成した場合は今回紹介したような改善方法が可能となるなど、将来の選択肢が拡がる。

 

老後のための資産形成に向けてまだ十分な準備を始めていないのであれば、まずは第一歩として、少額でも良いので、つみたてNISAや確定拠出年金等の税制優遇制度を活用して、目標金額に向けて適切な運用商品への積立投資をなるべく早めにスタートしてみてはどうだろうか。