日々生活するうえでハードルの多い障がい児の子育て。「私が死んだらこの子はどうなるのだろう」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、看護師として多くの子供やご家族と接した経験のあるFP Officeの片根竜哉氏が、障がいをもつ子供の相続方法と生前対策について解説します。
「私が死んだらこの子はどうなるの…?」障がいをもつ子の相続方法と生前対策【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

我が子のための生前対策…知っておきたい「障害年金」のしくみ

障害年金

障害年金は、障害の程度に応じて一定の金額が支給される制度です。

 

障害のある方の生活をサポートするためのもので、障害年金の対象者となるのは、年金の保険料を支払う義務が発生する20~65歳までです。

 

障害基礎年金には、1級、2級があり、障害厚生年金には、1~3級、及び障害手当金があります。年金額は、障害の程度により決まります。

 

障害年金には、初診日が20歳前後の場合「二十歳前傷病」と20歳以降の場合「二十歳到達後傷病」の区分があります。

 

「二十歳前傷病」は生まれつきの障害や幼少期の傷病で、障害の程度が基準を満たしていれば、保険料を納めなくても20歳になれば年金を受給することができます。

 

障害年金の年金額(2021年度)

障害年金は非課税のため、老齢年金のように所得税や住民税を控除されることはありません。支給日は、年に6回、偶数月の15日で、その月の前2ヵ月分がまとめて振り込まれます。6月15日に振り込まれるのは、4月・5月分です(15日が土日祝の場合は、その直前の平日が支払日となります)。

 

■障害基礎年金

1級……976,125円/年(月81,343円)
2級……780,900円/年(月65,075円)

■障害厚生年金

1級……報酬比例分の年金額×1.25倍
2級……報酬比例分の年金額
3級……報酬比例分の年金額(最低保証額585,100円/年)
障害手当金(一時金)……報酬比例分の年金額の2倍(最低保障額1,170,200円)

 

障害厚生年金(報酬比例の年金)は、人によって金額が違います。一般的に給与が高く会社勤めが長い人ほど年金額が多くなります。

 

障害基礎年金を受給している1級・2級の人は、国民年金の保険料が全額免除となります(法廷免除)。

 

障害年金の等級は、年金制度の等級であり、障害手帳などの等級とは異なります。障害手帳などをもっている方でも障害年金が受けられない場合もあります。

 

障害年金の申請方法…スムーズな手続きのためにはこまめな「成育歴」の記録を

障害年金の申請には、「病歴・就労状況等申立書」が必要です。発症から現在までの日常生活や就労の状況を記載するもので、申請者本人あるいは家族が作成します。

 

場合によっては、数年~数十年前の記録を掘り起こすことになることもあります。「カルテが破棄されていた」「通っていた病院がつぶれた」「どこの病院にかかっていたかわからない」など、手続きが難しくなるケースもあります。

 

年金の審査において、医師の作成した診断書と「病歴・就労状況等申立書」の整合性が重視されるので、小さい頃から成育歴を記録しておくことが大切となります。

 

 

片根 竜哉

FP Office

ファイナンシャル・プランナー