いまもなお伸び続ける、日本の平均寿命。それに伴い、老後(リタイア後)の人生をどう過ごすかが問題になっています。夫婦に年齢差がある場合「老後の年金受給額やその他の支給額を早くから把握し、対策を講じる必要がある」と、FP Officeの西田順子氏はいいます。本記事では、6歳上の夫を失った妻を襲う「お金周りの悲劇」について詳しくみていきます。
年上の夫に先立たれた妻…待ち受ける「月12万円」の悲惨な老後生活【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

超高齢社会の日本…どんどん延びる「リタイア後の時間」

2019年、日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳となり、女性は7年連続、男性が8年連続で過去最高を更新しました。今後は10年ごとに1歳ずつ平均寿命が伸びていくといわれています。どんどん延びていくリタイア後の生活について考える際に、夫婦の年齢差も考えに入れておくことはとても大事です。

 

我々FPは、

 

1.仕事を辞めるまで  
2.リタイア後の夫婦の生活   
3.ご主人に先立たれた後

 

とライフステージを3段階に分け、ご主人に先立たれた後のライフステージを『サードステージ』と呼んでいます。今日はこの『サードステージ』について話をしたいと思います。

平均寿命の男女差は「約6歳」…夫亡きあと“月12万円でひとり暮らし”の地獄

前述したとおり、2019年の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳、約6歳の差があります。

 

すなわち、6歳以上の差がある姉さん女房以外の女性は、ご主人に先立たれた後は1人で生きていく可能性が高いということですね。筆者の場合を例に出すと、歳の差は夫が6歳上です。仮にお互いが平均寿命で亡くなったとすると、筆者は夫に先立たれた後、12年間1人で生きていかなければなりません。

 

気持ちの面はさておき、ここで考えたいのはご主人が亡くなった後の収入面です。

 

たとえば、ご主人が会社勤めで、奥様が専業主婦もしくはパート勤め等で扶養に入っている場合、ご主人に先立たれてからもらえる奥様自身の老齢年金+遺族厚生年金(ご主人の厚生年金部分の4分の3)を受け取ることになります。

 

注意点としては、自分が厚生年金を受給していてご主人に先立たれた場合、『ご主人の厚生年金の4分の3』か『自分の厚生年金部分』かどちらか高いほうのみが受給できるので、両方はもらえない点です。

 

現状受給されている方の平均額をお伝えすると、現在65歳以上で遺族厚生年金を受け取っている女性の場合は、自身の基礎年金が月4~5万円、ご主人の遺族厚生年金の部分で7万円程度で、合わせて12万円程度が平均額となっています。

 

仮に筆者が第3号被保険者で老後は国民年金のみの受給となると、12万円前後の収入で12年間を生きていかなければいけないことになります。もちろんこれは平均額なので、配偶者の遺族厚生年金額及び自分自身の年金額によっても変わってくる部分ではあります。

 

さらに、現在年齢が若い方は老齢年金の受給が20年後、30年後になります。受給年齢が先になればなるほど、世の中は少子高齢化が進み、受給と供給のバランスが崩れ、さきほどの平均値の金額のように受給できない可能性は高いと考える向きもあります。