(※写真はイメージです/PIXTA)

新学期がはじまるこの時期、夏休み中に生活のリズムが乱れてしまった子どもに多いのが「夏バテ」です。よく聞く単語ではありますが、「夏バテ」に明確な診断基準や定義がありません。では、そもそも「夏バテ」とはななにか、どうすれば予防できるのか、啓信会きづ川クリニックの米田真紀子医師が解説します。

そもそも「夏バテ」とは

「夏バテ」という医学的な病名はなく、当然ながら診断基準や定義があるわけでもありません。強いていうなら、夏バテとは「暑さにともなって起こる体調不良全般」ということになります。ここでは、これ以降もあえて「夏バテ」という名前でお話を進めます。

 

夏バテの症状は人によって実にさまざまですが、表立って出てくる症状としては「倦怠感(だるさ)」「食欲低下」「易疲労感(疲れやすい)」など、非常に多岐に渡ります。

 

明確な症状というよりは「なんとなく調子が悪い」というような漠然とした症状なので、本人もうまく表現できないことも多いのではないかと思います。「イライラする」「情緒不安定」といった精神症状も、実は夏バテからくる症状のこともあります。

 

当たり前ですが、明らかに発熱している、体の特定の部位に強い痛みがある、咳や嘔吐などの症状が急激に出てきた、という場合は、夏バテには該当しません。

 

病院では、夏バテの診断をするというよりは、他の病気がないかどうかチェックを行います。感染症の初期症状ではないか、貧血や内分泌疾患はないか、胃腸の機能異常はないかなどのスクリーニング検査を行って異常がなければ、結果的に「明らかな病気の兆候なし」となり、さらに生活様式などを細かく問診し、条件が重なれば「夏バテかも」という判断になる可能性があります。

えっ、これもダメ?…夏バテにつながるNG習慣

夏バテの原因はさまざまですが、主なものとして以下の3つが挙げられます。

 

①著しい暑さ、あるいは空調の効いた室内との行き来による体温調節障害
②脱水
③栄養不足

 

これらについてひとつずつ説明していきます。

 

まず①ですが、これはいわずもがな、暑いと室内はエアコンで快適な温度に調整されます。

 

この酷暑では、熱中症対策でエアコンは必須です。ただし、1歩外に出ると35℃を超える暑さです。涼しい部屋から一瞬で10℃も高い気温のところに出て、湿度も高く汗もなかなか蒸発しにくい環境では、体がうまく環境変化に対処できません。

 

体温調節を担うのは自律神経ですが、この自律神経がうまく働かなくなると、体のいろいろな部分に支障が出てきます。一般的に、室温と外気温の差が5℃以上あれば自律神経失調を引き起こしやすくなるといわれています。

 

この自律神経の乱れが、上記の「なんとなくしんどい」というような漠然とした症状につながってくるのです。

 

次に②も当然のことですが、夏場は絶対的に脱水になりがちです。

 

汗をたくさんかくと、汗から体のミネラルが失われるため、お茶や水分だけの補充では不足する栄養素がたくさんあります。また、アイスや冷たいお茶など、体を冷やすものをたくさん摂りたくなりますが、そうすると①の自律神経失調につながることもあります。

 

さらに③の栄養不足については、①や②ともつながりますが、暑さや冷たいものの摂りすぎで体が冷えすぎることによって、自律神経異常から消化機能も落ちてしまい、食欲が減退します。その結果、必要なエネルギーが得られずにますます夏バテ症状がひどくなっていくことがあります。

 

このように、上記いずれも「自律神経失調」が症状に密接に関わっていることがわかります。

 

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