家主に変わって家賃を請求…「家賃保証会社」の取り立ては恐ろしく厳しい
ーーもうだめだ、家賃を払えない、引越しをするお金もない
そのような事態に陥り、家賃滞納状態に陥るケースもあります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会による賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』によると、2020年下半期、2ヵ月以上の家賃滞納率は1.1%。首都圏では0.8%、関西圏では若干高く1.4%率。1ヵ月の家賃滞納であれば、払い忘れということも考えられますが、2ヵ月以上であれば、困窮などから家賃の不払いが常態化しやすいといわれています。100戸に1戸は家賃を払えず……という状況に陥っているわけです。
これはコロナ禍初期のもので、給付金など、対応がとられていた時期のもの。昨今の物価高に対してはそのような対応先はとられていないので、さらに家賃が払えない困窮者は増えているといわれています。
家賃滞納状態になると、どうなってしまうのでしょうか。考えられるのは「強制退去させられる」「連帯保証人に迷惑がかかる」「ブラックリスト入りする」などと、良いことは決してありません。
「困っている人に対して、酷い」といっても、家主にしてみれば収入が入らないわけですから家賃滞納は死活問題。仕方がありません。
このような家賃滞納のリスクに対応しようと、家主は保証会社と契約することが多く、入居者は初期費用として保証費を払っています。「保証費ってなに?」と思っている人もいるかと思いますが、いざ家賃滞納となると、効果を発揮します。手元に入ってこない家賃を、保証会社が払ってくれるわけですから、家主にとっては安心、というわけです。代わりに保証会社は滞納家賃を回収しようと、家賃滞納者にもとを訪れます。
彼らは「債権回収のプロ」。家賃保証会社の取り立ては、家主や管理会社のものよりもずっと厳しいものがあります。
——家賃、払ってくださーい…早朝や深夜に催促の訪問
——代わりに払ってください…契約とは無関係な家族や友人に取り立て
——あれ、部屋に入れない…カギを勝手に交換
「そんなの違法でしょ」と思われるようなことが行われることも。消費者金融などでは禁止されているこれらの行為も、家賃保証会社を直接取り締まる法律はいまのところありません。そのため、警察などに相談しても基本的に何もしてくれないのだとか。弁護士に相談をして民事裁判に……家賃滞納者にそこまでの余裕がある人もまれでしょう。国土交通省『家賃債務保証の現状』によると、家賃債務保証をめぐる消費者からの相談件数は、年に600~700件ほど。これはあくまでも氷山の一角です。
家賃滞納の末、恐ろしい事態に巻き込まれないよう、もし家賃に負担感があるのなら、余裕のあるうちに対策を講じておくのが賢明です。