依然として景気の先行き感は不透明で「失業率の上昇」が懸念されていますが、世界でみれば日本は優等生で常に「低失業率」を誇っています。一方で「1年以上失業状態にある人」は多いという側面があり、「働けるのに働かない」いわゆる引きこもりが問題視されています。みていきましょう。
氷河期世代のエリート、正社員からの大転落…「中高年の引きこもり」に待ち受ける厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

世界でも失業率は低いが、長期間失業している人は多い日本

ウクライナ情勢などに起因する、急激な物価高。それに伴い、せっかくコロナ禍からの景気回復といわれていましたが、さらなる悪化を懸念する声も。世界的に経済成長予測も下方修正され、失業率の上昇もささやかれています。しかし、以前から日本は低失業率を誇る国。

 

世界主要国の失業率をみていくと、調査対象38ヵ国中、日本は2.83%で37位(OECD、2021年)。経年の推移をみてみても、不良債権処理などで日本経済がどん底にあった2000年前後でも、日本の失業率は4~5%で25位前後。リーマンショックで世界経済が混乱していた2009年前後をみてみても、日本の失業率は4~5%で30~35位あたり。

 

年功序列に新卒一括採用の終身雇用と、何かとネガティブに言われがちな日本の雇用環境ですが、失業率という点でいえば、世界でもトップクラスの安定感です。

 

【世界主要国「失業率」上位10】

1位「コスタリカ」16.43%

2位「スペイン」14.78%

3位「ギリシャ」14.71%

4位「コロンビア」13.76%

5位「トルコ」11.97%

6位「イタリア」9.50%

7位「チリ」8.85%

8位「スウェーデン」8.81%

9位「フランス」7.86%

10位「フィンランド」7.61%

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37位「日本」2.83%

 

出所:OECD(2021年)

 

ただそんな失業率も違う角度からみてみると、異なる一面がみえてきます。失業者のうち、1年以上求職している人の数をみていくと、調査対象校45ヵ国中、日本は67万人で8位。失業率は低いものの、長く職につけていない人が多い国、という側面があるのです。

 

【主要国「長期失業者数」上位10】

1位「南アフリカ」321万人

2位「フランス」278万人

3位「米国」199万人

4位「スペイン」143万人

5位「イタリア」134万人

6位「トルコ」122万人

7位「ロシア」81万人*

8位「日本」67万人

9位「コロンビア」56万人

10位「ドイツ」49万人

 

出所:OECD(2021年)

*2020年数値