計算ミスでペナルティも…「RSU」「ストックオプション」の確定申告【税理士が徹底解説】

計算ミスでペナルティも…「RSU」「ストックオプション」の確定申告【税理士が徹底解説】
※画像はイメージです/PIXTA

外資系企業を中心に、現金で支払う給与のほかに、インセンティブとして株式を付与する制度「RSU(ストックアワード)」や「ストックオプション」を取り入れるケースがあります。その場合、確定申告の必要がありますが、間違えた方法で行っているケースが散見されるといいます。そこでサラリーマンの節税相談で定評のあるトランス税理士法人の中山慎吾税理士に、RSUやストックオプションの確定申告、さらにはサラリーマンでもできる税金対策について解説いただきます。

RSUやストックオプションの確定申告…計算方法

外資系の企業などで勤めており、現金支給だけでなくRSUやストックオプションの形で報酬を受け取っている方は、経済的利益が発生した時に給与所得として課税され、確定申告が必要となってきます。

 

具体的にはストックオプションは権利行使(Exercise)時点で、RSUであれば権利確定(Vest)時点で課税されます。外資系の場合、株式はドル建てで上場していることが多く、確定申告の際には為替取引の仲値(TTM)を用いて円換算をしなくてはいけません。計算式で表すと

 

ストックオプション:株式数*(株式時価―権利行使価格)*為替TTM

RSU:株式数*株式時価*為替TTM

(*はかけ算)

 

上がそれぞれの時点の経済的利益で、源泉徴収されていない給与所得として申告します。これらは総合課税となり現金支給される給与所得に上乗せされて累進課税で税金が課せられるため、貰う額が大きいほど税率が上昇していきます。

 

また、ストックオプションやRSUで得た株式を譲渡した際には株式の譲渡所得として確定申告をします。給与所得の計算と同様に円建てに換算し、譲渡金額と取得金額の差額を譲渡所得として申告します。譲渡所得は分離課税で、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が課せられます。

 

このように、取得した株数の履歴や株価の推移だけでなく、為替の計算まで必要になるため、かなり複雑な申告となっております。

 

筆者へ令和3年分の確定申告の依頼をいただいた方が過去に自身で作った前年の確定申告書を見てみると、明らかに計算を誤っているケースがありました。譲渡所得の申告において、取得金額がゼロ円で株式譲渡の計算がされており、実際の利益よりも過大な株式譲渡益を計上してありました。

 

つまり、本来払うべき税金よりも多い金額を納税してしまっていたのです。結果として、この方は更正の請求という手続きを行い、計算が誤っていた根拠を示し、払いすぎた税金を取り戻すことができました。

 

また、現行の税務ルールとして、RSUやストックオプションは権利取得時と譲渡時に、事業会社側から税務署へ「外国親会社等が国内の役員等に供与等した経済的利益に関する調書」の提出が必須となっております。そのため、給与所得の申告をしていなかった場合や金額を誤っていた場合、会社側からの情報との違いがすぐに分かるようになっています。給与所得を申告していなかったり、過少申告してしまったりするとペナルティが発生しますので、漏れや計算ミスが無いよう注意しなくてはいけません。

 

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