日本人の6~7人に1人が「認知症」
「認知症」とは、老化などさまざまな原因で脳機能が低下した結果、記憶障害と判断力低下が起き、屋外から屋内の順で社会生活や対人関係などに支障が出る状態のことをいいます。「せん妄」と異なり、意識障害がないことが診断の前提です。
日本では少子高齢化の進行とともに、認知症の診断数も増加しています。現在では軽症例を含めて6~7人に1人程度が認知症であり、今後も増加すると予想されています。
認知症は以下の分類があります。
・ アルツハイマー型認知症
記憶障害(もの忘れ)から始まる場合が多く、進行は緩やかです。記憶障害が中心となりますが、「物盗られ妄想」があることが特徴です。
・脳血管性認知症
脳梗塞・脳出血、脳の動脈硬化などにより、認知機能が「まだら状」となることが特徴です。記憶障害・言語障害などが現れやすく、脳血管障害であるため、アルツハイマー型に比べ歩行障害などの身体症状も出やすいです。
・レビー小体型認知症
幻視、睡眠時の異常行動、手足の不随意運動などの身体症状(パーキンソン症状)が特徴です。
いつも行く病院名がいえない…「中核症状」のサイン
認知症には記憶力低下などの「中核症状」と怒りやすいなど精神症状である「行動・心理症状(BPSD)」の2つに大別されます。
◆中核症状
はじめに気づくのは、外出時であることが多いです。街のなかで自分がどこにいるか、どこに向かっているのかが理解できなくなります。
1.記憶障害
新しいことを記憶できず、昨日の夜の食事などを忘れます。症状が進行すると、以前覚えていたはずの記憶も失われていきます。
2.見当識障害
まず、今日の日付や曜日、いまの季節、いつも行っている病院やスーパーの名前がわからなくなります。その後、道に迷ったり、バスや電車の行き先を間違えたりするようになります。さらに進行すると、自分の年齢、家族、相手の人物に関しての記憶がなくなります。
3.理解力、判断力の障害
思考スピードが低下し、瞬間の判断や2つ以上の複雑な動作を要することができなくなります。自動販売機、駅の自動改札、銀行ATMなどの前で戸惑ってしまいます。
4.実行機能障害
買い物の際、同じものを購入してしまう、料理ができなくなる、金銭や服薬の管理ができなくなるなど、日常生活に支障が出てきます。結果として、自分で計画を立てられず、予想外の変化にも柔軟に対応できなくなります。
5.感情表現の変化
その場の状況がうまく認識できなくなるため、周りの人が予測しない、思いがけない感情の反応を示すようになります。
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