世界一の「高齢化率」に「高齢者負担率」…現役世代の悲鳴が聞こえる
「高齢化率」は、世界の中でもダントツ1位の日本。さらに生産年齢人口(15歳~64歳)に対する65歳以上人口の割合である「高齢者扶養率」も世界でダントツの1位です。この先も高齢化は進み、2030年には3人に1人が高齢者となる時代となります。
【世界「高齢化率」トップ10】
1位「日本」28.70%
2位「イタリア」23.61%
3位「ポルトガル」23.15%
4位「フィンランド」22.96%
5位「ギリシャ」22.64%
6位「ドイツ」21.98%
7位「マルタ」21.81%
8位「ブルガリア」21.75%
9位「クロアチア」21.66%
10位「プエルトリコ」21.27%
【世界「高齢者負担率」トップ10】
1位「日本」48.64%
2位「フィンランド」37.39
3位「イタリア」37.12
4位「ポルトガル」36.18
5位「ギリシャ」35.41
6位「米領ヴァージン諸島」35.22
7位「ドイツ」34.35
8位「フランス」34.33
9位「マルタ」34.21
10位「ブルガリア」34.21
出所:世界銀行(2021年)
高齢化の進行と共に、それを支える現役世代の給与があがればいいのですが、ご存知の通り、日本の賃金事情は散々たるもの。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本人の平均月収(きまって支給する現金給与額)は33万4,800円、手取りにすると25万〜27万円ほど。1995年を100とした場合の「賃金上昇率」をみていくと、世界主要33ヵ国のなかで、日本は唯一、100%を下回った、つまり賃金が下がった国。現役世代の負担は増すばかりなのです。
一方で高齢化の進行で現状の年金の水準は維持できないとされています。財政検証では所得代替率50%維持を目標としていますが、現状の所得代替率から換算すると、年金額は現状の2割ほど目減りすると考えられます。現役世代だけでなく高齢者も共倒れ……そんな最悪の結末が見えてきました。
そもそも高齢化対策を進める一方で、賃金対策は後手に回った印象のある日本。守りの対応が目立ったことが、現在の低成長を引き起こした、という指摘があります。
そのようななか、岸田総理が打ち出している成長戦略。労働者の質を高める「人への投資」は、当然、賃金上昇にもつながっていくでしょう。高齢化対策と賃金対策。どちらか一方になることなく、両輪でまわっていくことに期待が集まります。