2022年春闘…4年ぶりの高水準「賃上げ率2.20%」
厚生労働省から『令和4年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況』が発表されました。これは労使交渉の実情を把握するため、民間主要企業の春季賃上げ要求・妥結状況を集計するもの。2022年度の調査対象は、妥結額(定期昇給込みの賃上げ額)などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業358社。
交渉前の平均賃金は31万3,728円(平均年齢39.1歳)に対し、賃上げ額は平均6,898円で、前年の5,854円から1,044円の増額。また現行ベース(交渉前の平均賃金)に対する賃上げ率は2.20%で、前年の1.86%に比べ0.34ポイントの上昇となり、2年ぶりに2%台に回復。コロナ禍前、2019年の2.8%を上回り、4年ぶりの高い水準になりました。
さらに先月末に日本経済団体連合会が春闘の結果をまとめたところによると、従業員500人以上の大手企業135社の賃上げ平均は7,562円で前年を1,438円上回り、4年ぶりに増加。賃上げ率は2.27%で、前年の1.84%に比べ0.43ポイントの上昇となり、こちらも2年ぶりに2%台を回復。前年比上昇幅は2000年以降では2番目に大きくなりました。
政府は業績がコロナ以前の水準まで回復した企業に対し、3%以上の賃上げを求めています。その対象となる41社については、賃上げ率が平均3.05%と、3%を上回ったことが分かっています。
あくまでも大企業の春闘に限った結果であり、また昨今の物価高にはついていけていないという指摘はありますが、賃金上昇の流れが中小企業にも波及していくのではと期待されてます。
ただ日本の労働組合の存在感は徐々に薄くなりつつあります。厚生労働省『令和3年労働組合基礎調査』によると、労働組合数は23,392組合、労働組合員数は1,007万8,000人。前年比369組合、3万8,000人減。推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は16.9%と、前年から0.2ポイント減となりました。図表でもわかるとおり、組織率は右肩下がりです。また企業規模1,000人以上では組織率は4割程度ありますが、100〜999人規模では11.1%、〜99人規模では0.8%という状況からも、中小企業にとって労働組合は無縁の存在だといえるでしょう。