世界でもっとも有名な投資家の1人であるジョージ・ソロス氏は、「再帰性理論」を唱えています。「人々の意思決定はあくまでそれぞれの主観にもとづいて行われるが、その意思決定によって現実が変化し、その変化した現実によって人々がまた新たな主観を持つため、常に人々の予想や現実は不確実にならざるを得ない」といった理論です。このソロス氏の理論は投資で勝つために必要な思考法であると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。詳しくみていきましょう。
天才投資家ジョージ・ソロスが唱える「投資に勝つ」ための思考法【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

市場の動きに「乗る」のも「無視する」もあり

また、多くの投資家が株価上昇を予想して株を買っているときは当然、現実の株価も上がるものです。ですから、あえてそれに「乗る」という手もあります。

 

実は割高かもしれないし、その株価上昇には妥当性がないのかもしれませんが(再帰性理論によれば、あくまでそれも主観ですが)、多くの投資家がそう動いているときは、現実の株価もそれに影響されて上がり、そしてその現実がまた投資家を買いに走らせる要因となります。

 

ですから、こういった時期は株価が異常に上がっていく可能性がありますので、大きく儲けるチャンスかもしれません。ただし、引き際を見極めることがとても重要だということも忘れないようにしましょう。

 

一方、そういった時期に、「いまの株価上昇は、みんなで上がると思い込んでいるからだ」と一人違う主観を持ち、それを無視するのも1つの手です。むしろ売って現金を増やして待っていてもよいですし、他の投資先を探したりしてもよいでしょう。

 

どちらにせよ、観察者の世界理解と世界の現実的なありようの双方向的な干渉である「再帰性」を利用することで、投資家は利益を出すチャンスを得られるのではないでしょうか。

「再帰性」を理解して利益を得るチャンスをつかむ

株価は投資家の予想と相互に干渉しあって形成されているため、実は予想も株価も不確実なものだという「再帰性理論」を理解しておくことは、株式投資にも大いに役立ちそうです。

 

そして、「これはあくまで自分の予想である」「その予想は株価の変化からも影響を受けてしまっている」という慎重な姿勢を持つことや、あえて再帰性を利用して株価上昇に乗ったり無視したりすることで、投資家は利益を出すチャンスを得られるのではないでしょうか。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓