公務員の6割が「カスハラ経験」あり
パワハラやセクハラなど、職場で発生するさまざまなハラスメント。なかでも昨今、増加傾向にあるとされているのが、カスタマーハラスメント、カスハラです。顧客や取引先からの暴力や悪質なクレーム等の著しい迷惑行為であり、厚生労働省が2020年に行った調査によると、パワハラやセクハラは数は多いものの減少傾向にあるのに対し、カスハラのみが増加傾向にあるとしています。
調査年となった2020年は、コロナ元年ともいえる年。その影響もあってか、顧客等からの不当なクレームが増加したことも関係あると考えられます。
カスハラを規制する法律はありませんが、パワハラの防止対策を事業主に義務付けた改正労働施策総合推進法の施行にあたり、「顧客等からの著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)により、その雇用する労働者が就業環境を害されることのないよう、雇用管理上の配慮を行うことが望ましい」と定められています。いまやカスハラ対策は、企業にとって無視できない問題になっているのです。
またカスハラは、一般企業だけの問題ではなく、公務員が働く現場でも大きな問題になっています。2021年、日本国家公務員労働組合連合会は国家公務員のカスハラの現状を調査し、『カスタマーハラスメント実態調査2021』にまとめました。ここではカスハラを、「前述の人事院規則10-16*の運用通知に定められた言動とともに、職員(担当者)の就業環境や業務推進を阻害し、又は尊厳を傷つける行為(行政対象暴力含む)をカスハラと定義しています。
*職員が担当する行政サービスの利用者等からの言動で、当該行政サービスをめぐるそれまでの経緯やその場の状況により、その対応を打ち切りづらい中で行われるものであって、当該言動を受ける職員の属する省庁の業務の範囲や程度を明らかに超える要求をするものに関する苦情相談があった場合に、組織として対応し、その内容に応じて、迅速かつ適切に職員の救済を図ること」が「各省各庁の長の責務としたもの
それによると、「カスハラを受けたことがある」と回答したのは60.3%。男女別にみていくと、「男性」が61.9%、「女性」が56.0%。性別による差はみられませんでしたが、年齢別では「20代」が36.0%、「30代」が56.8%、「40代」が70.4%、「50代」67.0%、「60代以上」が63.5%と、40代~50代の割合が高く、中間管理職がカスハラ対応に苦慮している姿が伺えます。