急激な物価高で、買い物をするたびにため息が止まらない今日この頃。なかでも年金だけが頼りという高齢者は、その影響が甚大でしょう。生活苦に陥り、とうとう、犯罪に手を染めてしまうケースも。みていきましょう。
年金月10万円「ほんと、お金がない」…生活苦の高齢者が越えてしまった一線 (※写真はイメージです/PIXTA)

急激な物価高…収入源が限られる年金生活者を直撃

物価上昇が止まりません。6月の消費者物価指数(CPI、総合)は前年同月比2.4%上昇を記録。特にロシアのウクライナ侵攻により世界的高騰を招いたエネルギー全体では16.5%の大幅増。電気代は18%、ガス代は17.1%、ガソリンは12.2%と、それぞれ上昇しました。

 

さらに生鮮食品を除く食料は3.2%の上昇。特に輸入原材料を多く使用している食用油は36%も上昇しています。

 

元々、政府・日銀は2%の物価上昇を目標としているので、この物価上昇を喜んでいる……ということはありません。あくまでも目指していたのは、内需、賃金の上昇に伴う物価上昇で、現在の外的要因による物価高は、輸入品への依存率が高い日本にとっては致命的。なんとか物価高を抑制できないものかと躍起になっています。

 

しかしその効果は今のところ表れておらず、物価高は生活者を直撃しています。特に収入を得る手段が限られている年金生活者は死活問題でしょう。

 

内閣府『令和4年版高齢社会白書』によると、高齢者世帯(65歳以上の者のみ、または65歳以上の者に18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の平均所得金額は312万6,000万円。全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いたその他の世帯が664万5,000万円なので、その半分に満たないとしています。

 

さらに、高齢者世帯を所得別にみていくと、150万~200万円未満が最も多く、また公的年金・恩給を受給している高齢者世帯について、公的年金・恩給が家計収入のすべてとなっている世帯が約半数となっています。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均年金受給額は老齢年金で月額5万6,358円。一方、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は老齢年金で月額14万6,145円。また厚生年金だけに注目すると、男性は17万0,391円、女性は10万9,205円となります。

 

さらに受取額の分布をみていきましょう。国民年金では、月5万円に満たないのが26.4%。4人に1人の割合です。厚生年金では月10万円に満たないのが、男性で10.4%に対して女性は48.5%と過半数近くになります。

 

前出の白書によると、2019年、生活保護を受ける人、そのものは減少傾向にあったものの、65歳以上の生活保護受給者は105万人に達し、増加しているといいます。また65歳以上人口に占める生活保護者の割合は2.93%となっています。

 

生活保護は日本に永住している人なら誰でも受給する権利であり、年金生活者も対象。生活保護を受給する条件のひとつに、世帯全体の収入が厚生労働省の定めた最低生活費以下というものがあり、東京都内に一人暮らしであれば13万円。元会社員の女性の単身高齢者の多くは、対象となる水準です。