脳血管障害が引き金となる「血管性認知症」
脳血管障害を発症したら、全員が認知症になるわけではありませんが、発生した部位によっては後遺症として認知症になってしまうことがあります。高血圧や高脂血症、高コレステロール血症は、動脈硬化を促進し、脳卒中などを原因とする脳血管障害を招く危険性があります。脳血管障害には脳出血と脳梗塞があります。
血管性認知症を防ぐには…「脳梗塞」のポイント
■ストレスは大敵!ストレスの対処法を知りましょう
中高年者では高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症といった生活習慣病や、喫煙習慣、飲酒習慣は、動脈硬化や血栓の危険因子になります。これらの生活習慣病はいずれもストレスと関連しており、心配事や思い通りにいかないことなどをくよくよ考えすぎたり、正義感が強すぎたり、理想が高すぎたりすると、現実とのギャップでそれが怒りになって、血圧、コレステロール値、血糖値、尿酸値が上昇するようです。精神状態が穏やかでない生き方は病気を引き起こすのですね。
「怒る」の反対は「許す」です。他人を責めたりせず、他人を許すことを覚えて、感謝しながら生きることは自分自身をいたわることになるのですね。喫煙や飲酒も、血管を傷害する因子ですが、どんなときにタバコを吸いたくなるのか、どういう状況で飲酒しているのか、きちんと自分と向き合って、ストレスをストレスにしない考えを身に着ける必要があります。
生活習慣病や喫煙、飲酒癖を改善するには精神療法が必須になってくると思います。食事療法や運動療法をスムーズに行うためにも、アンガーマネージメントやマインドフルネスといった行動療法が必要になってきています。
また、心房細動という不整脈は血栓ができやすいことで知られています。若年性脳梗塞は、動脈硬化以外のさまざまな原因で引き起こされます。その典型ともいえるのが、抗リン脂質抗体症候群や奇異性脳塞栓症、もやもや病などです。
どれもあまり聞きなれない病名でしょうが、いずれも血栓ができやすくなる病気です。抗リン脂質抗体症候群は不妊症や何度も流産を繰り返す不育症で発見されることがあります。奇異性脳塞栓症は、下肢などにできる深部静脈血栓症(DVT)、すなわち静脈内で発生した血栓が、静脈を移動して最終的に脳動脈に到達して発症する脳梗塞のことをいいます。
DVTはエコノミークラス症候群で知られるようになりました。長時間同じ姿勢でいるとき、静脈内の血流が低下して、血が固まりやすくなり、血栓が生じることがあります。長時間のフライトや地震や水害などの避難先で、何日も車中泊を繰り返している場合にも問題視されました。
■水分不足に要注意!外出前や入浴前は「コップ1杯の水」を
炎天下やサウナ、激しい運動などで、血液中の水分が奪われるときも脳梗塞が発症しやすくなります。高齢者ではのどの渇きを訴えないこともあり、また排尿が億劫で我慢するような人は、無意識に水を飲むことを制限したりする傾向にあるので、周りの人が気にかけてあげる必要があります。2時間に1回排尿していれば、ある程度水分は取れていると考えられます。外出や入浴の前にコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。
一時的に緊張して血圧が高くなることはありますが、これを高血圧だと思って、降圧剤を服用していると、通常の血圧が逆に下がりすぎて、脳の血液循環が悪くなって脳梗塞になる場合があります。ちょっとでも血圧が高いと血圧を下げる薬を飲むといった心配しすぎの人は要注意です。