一見すると同じなのに、知らず知らずにして生じている給与格差。男女、学歴、企業規模、雇用形態……さらに地域によっても、給与は大きく異なります。総務省のデータから「全国1741市区町村の給与格差」をみていきましょう。
全国市区町村「平均年収」ランキング…順位に異変!?上位常連「高所得の村」に何が起きたのか (※写真はイメージです/PIXTA)

ランキングトップ10以下で起きている…高所得を誇る自治体の変化

トップ10以下をみると、さまざまな事情がみえてきます。

 

まず昨年10位だった「福島県川内村」は672位で299万6,210円。昨年は平均年収553万円でしたので、大きくランクダウンしました。人口2,000人に満たない小さな村。昨年は「一般株式等に係る譲渡所得金額」が大きく増加していることから、ほんの一部の人がたまたま所得を増やした結果だったよう。今回の順位がいつも通り、といったところでしょうか。

 

そして昨年と同じような現象を起こしていると思われるのが、13位「北海道音威子府(おといねっぷ)村」484万6,975円。

 

北海道の北部の山間に位置し、人口は600人程度という道内で最も小さな村です。やはり「一般株式等に係る譲渡所得金額」が大きく増加していることから、一部の人が株の売買で大きな利益をあげたと考えられます。人口の少ない自治体では、ちょっとした所得の変化で大きく平均年収が上下します。

 

一方、同じ北海道の中でも「高所得の村」として有名な「北海道猿払(さるふつ)村」は、昨年11位531万1491円から、30位441万7,522円と大きく所得を減らしました。

 

北海道北部、オホーツク海に面し、日本の最北にある「稚内」の南、人口は3,000人弱の小さな村。村には豪邸が並ぶとテレビなどで紹介され、一躍有名になりましたが、高所得者が多い理由としてあげられていたのが、日本有数の水揚げ量を誇る「ホタテ」。「育てる漁業」に転換を図ったところ実を結び、「日本一の高所得の村」へと押し上げたといわれています。

 

2020年度はコロナ禍で北海道産ホタテが大ピンチに陥りました。高級食材として人気を博していた中国などへの輸出が一気に落ち込んだのです。その余波が猿払村も襲ったと考えられます。しかし2021年からは中国等の経済活動再開により、輸出も好調だとか。来年度は再び「高所得の村」の本領を発揮してくれるに違いありません。