将来不安は老若男女、共通のもの。たとえ、社会人になりたての20代の会社員であっても「将来、いくら年金をもらえるのだろう」と心配になるものです。彼らが年金を手にするだろう、40年後について考えてみましょう。
平均年金14万円だが…手取り18万円、20代会社員が40年後に受け取る「愕然の年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

20代会社員が年金を受け取る2060年ごろ…年金受取額の目減りを覚悟

老後不安は若い人にも共通するものですが、独身で月18万円、片働きで月24万円、共働きで月33万円の年金をもらえるとなれば、安心できるのではないでしょうか。

 

ただこれは現行に則った「もしも」の話。20代会社員が年金を受け取るようになる2060年ごろ、いまの日本と同じ状況で、同じ年金制度だったなら、の話です。

 

現在、政府は公的年金(厚生年金)の給付水準を、モデル世帯でみて、所得代替率5割をキープするとしています。所得代替率というのは、「給付開始時の現役世代の手取り収入と比べてどの程度の年金額を受け取れるか」という物差しのひとつ。モデル世帯は、夫が40年間厚生年金に加入し、入社から定年までの給与(賞与込み)が現役世代の平均額、さらに妻は20歳で結婚し、以後60歳まで専業主婦で国民年金のみ加入という夫婦を想定します。

 

もし所得代替率を50%キープできたら、100年後も公的年金制度を持続できるとされています。厚生労働省では、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成(財政検証)を行っていますが、最新となる『2019(令和元)年財政検証結果レポート「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」』によると、モデル夫婦の年金受取額は月額22万円、所得代替率は62%でした。25年後の2047年、モデル夫婦が受け取れる年金額は24万円、所得代替率は51%になる見通し。つまりおよそ2割、年金は目減りする、ということになります。

 

内閣府『令和4年版高齢者白書』によると、「65歳以上人口を15~ 64歳人口で支える割合」は2021年で2.1人。それが2045年には1.4人までなります。その後、割合はそれほど変わりませんが、2065年には0.1ポイント下がり、1.3人に。そこから考えると、年金の目減りは2割は確実といったところでしょうか。

 

そう考えると、いまの20代のサラリーマンが実際に手にできる年金額は、現在の14万円程度だと考えておいたほうが良さそうです。月14万円で足りるか、足りないか、人それぞれではありますが、安心できる水準でないことは確か。幸い、20代であれば「時間」という武器があります。早めに資産形成をスタートさせることが、老後の安心につながりそうです。