数千万円、もしくは億単位の資金が必要となる不動産投資は、銀行など金融機関から資金を調達しなければ始まりません。融資を受ける際に、必ず行われるのが審査です。この審査において、金融機関は何を基準にどこを重視して融資の可否を判断しているのでしょうか。みていきましょう。
銀行は何を見ているのか?「不動産投資ローンの融資審査」チェックポイント、4つ

不動産投資ローンの審査…投資家の何を見ているのか?

審査とは、銀行が債務者に返済能力があるかどうかを測ることを指します。主なチェックポイントは4つあると言われています。それぞれの審査項目について解説していきましょう。

 

個人の属性

まず一つめに、債権者の「信用力」が挙げられます。これは年収と勤務先といった属性情報によって決まります。銀行によって多少の違いはありますが、年収の最低ラインは400万円だといわれています。なかには700万〜1,000万円をラインに設定しているところもあるようです。

 

一般的に、メガバンクほど属性に対するハードルは高く、地方銀行やネット銀行、信用金庫などローカルな金融機関は低いといわれています。また、勤務先は、会社の規模や歴史、経営基盤が重視されます。個人事業主は、医師や弁護士など、いわゆる士業でない限り、サラリーマンよりも不利になることが多いようです。

 

銀行が審査において属性を重視するのは、返済能力を知るためです。不動産投資が成功することが何よりも重要ではありますが、その成否に関係なく銀行は融資した資金を回収する必要があります。

 

そのときに重要になるのが借り入れをする本人の属性です。返済に十分な収入があるか、それが今後継続するかを審査しているわけです。

 

自己資金の多さ

二つめのポイントは、自己資金の多寡です。不動産を購入するために必要な資金のうち、自己資金としてどれだけの金額を用意しているのかも審査に影響します。その理由は、2つあります。

 

1つめの理由は、単純に自己資金が多いと借入金が少なくなるため、その分リスクが低くなると判断されるからです。しかしこれは審査の本質ではなく、特に重視されるのは2つめの理由です。

 

自己資金として数百万円、ときには一千万円以上のお金を用意しているという事実を、銀行は審査において重視します。それだけのお金を用意できた事実に対して「お金の管理がしっかりしている人」と判断しやすいことに加えて、それだけの自己資金を投じて不動産投資をするのですから、その人は本気であるとも見なされやすくなります。

 

銀行融資の審査に不安があるという方は、できるだけ自己資金を多く用意することを心がけましょう。

 

物件の収益力

三つめに、物件の「収益力」が挙げられます。住まいを買うための住宅ローンは、債務者個人の信用力が問われます。不動産投資ローンは、それに加えて、物件の「稼ぐ力」が重視されます。

 

たとえば、主要駅に近い、人気の街にある、最新設備があるなど、物件に魅力があり、借りたい人が多いかどうかが重要なのです。

 

物件に収益力があるということは、不動産投資が成功しやすいと判断できます。高い稼働率を維持できれば返済の原資も順調に入るため、銀行としても融資のリスクが低いと見なすことができます。

 

物件の担保力

四つめに、物件の「担保力」が挙げられます。万が一、債務者が返済できなくなったとき、銀行は物件を売却して残債を整理します。これも銀行によって基準はまちまちですが、一般に築年数が浅いほど有利なようです。

 

また、不動産の価値を決めるのは物件そのものの築年数や設備といった建物価値だけではありません。その不動産の立地条件も資産価値に大きく影響を及ぼします。建物は経年劣化が避けられませんが、立地条件が劣化することはありません。

 

資産性の高い立地に建っているマンションであれば築古になっても高い資産価値が見込めますし、建て替えをしたとしても資産価値の高い物件になりやすく、銀行としても万が一返済不能に陥ったとしても十分回収できるとして融資をしやすくなります。