株式をはじめ金融資産へ投資をおこなう場合、「時間を味方につける」という観点から、短期売買よりも中長期での投資が推奨されます。しかし、日本株、とくに日本の大企業の個別株については、中長期投資よりも短期売買のほうが向いていると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。それはなぜなのか、みていきましょう。
日本株への投資は「中長期」よりも「短期」が向いているワケ【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

成熟した大企業が多い日本…その株は「多くの人」がもっている

日本株の価格変動が読みやすい背景には、「成熟した大企業が多い」という点が挙げられます。

 

日本の大企業の多くは財政が安定しており、大きなリスクを取らなくても経営を維持できる強い経済的基盤があります。経済規模が大きい大企業は、発行している株式も中小企業と比にならないほど多く、日本経済の重要指数である日経平均株価も、多くの大企業の株価推移が影響をおよぼしているといえます。

 

ここで重要なポイントは「多くの人が大企業の株式を保有している」ということです。一部の少数派しか保有していない場合、まれに一方的な大きな価格変動が起きることがあります。その場合、テクニカル分析も機能せず、運任せな相場になり、合理的なトレードを行うことができません。

 

しかし、株式発行数が多い日本の成熟した大企業には低価格帯に買いオーダー、高価格帯に売りオーダーが一定数入っているため、そのような一方向への値動きをする可能性はあまりありません。

 

このように、大きなリスクを取らなくても経営していける安心感が、日本の大企業の個別株の短期的な値動きをレンジ状態にしているといえます。前述のように、値動きがレンジ状態になりやすいということは価格変動が読みやすく、テクニカル分析さえ抑えておけば最小限のリスクで利益を積み上げられる可能性が高いでしょう。

日本株トレードはテクニカル分析のいい練習の場になる

比較的素直な値動きをする大企業株は、株式トレード初心者のテクニカル分析のいい練習場になります。日本の企業とあって情報収集もしやすく、多くの初心者トレーダーが日本株を選んでいます。

 

しかし多くの初心者トレーダーは、自分なら勝てると盲信して次第に疲弊していきます。

 

せっかくトレードに向いている日本株市場に参入したのにも関わらず、利益を積み上げられないまま退場してしまうのは非常に惜しいことです。初心者トレーダーはまず成熟した日本の株式市場でテクニカル分析を学習し、実践して経験を積みましょう。テクニカル分析は日本株のトレードだけにとどまらず、多くの投資で役に立ちます。

 

日本にいるというメリットを存分に活かして、初心者トレーダーからプロトレーダーへの道を切り拓きましょう。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓