株式市場を動かす「3つ」の属性
基本的に株価を動かすトレーダーは以下の3種類の属性のどれかに所属しています。
①機関投資家
②AI(アルゴリズム)
③個人投資家
まず①の機関投資家を解説します。機関投資家とは、顧客から資金を調達して、まとまった資金を運用して利益を稼ぐプロのトレーダーのことです。株式ディーラーなどがこの属性に当てはまります。プロの機関投資家はたくさんの顧客から資金を集めているので、動かす金額も数千万から数億といった桁違いのトレードをしています。そのため、日本株のなかでもマイナーな株は彼らの大きな注文によって価格が大きく推移してしまいます。
次に②のAI(アルゴリズム)です。AIは事前に用意されたアルゴリズムによって売買判断しています。特に企業業績に関わる発表があったときは、機関投資家や個人投資家よりも早く発表内容を判断して、大きく相場を動かします。また、大きく価格が急落したときにすぐさま値を戻すような動きもAIによる売買が関係しています。プログラムが判断しているので、感情を持たないAIがもっとも合理的な判断をしていると言っても過言ではありません。
最後に③の個人投資家です。実は、株式市場に不確定要素をもたらしているもっとも大きな存在が個人投資家だと言われています。個人投資家とは各個人で証券口座を作り、独自の分析をもとに株式投資を行う人を指します。数万円の元手から始める個人投資家もいれば、ひとりで数億円規模の資金を動かす個人投資家までさまざまです。また、一番心理的な影響を受けているのも個人投資家です。個人の自由で資金を動かせるメリットもありますが、かえっていつでもトレードできるという環境が焦りや心理的不安を生み、無駄な損切りを招く事例もあります。
主に機関投資家、AI(アルゴリズム)、個人投資家が株式市場を動かしています。そして株価はこれら3つの属性の思惑が複雑に絡み合ったうえで動いているのです。
相場を複雑化させる個人投資家の行動
誰も株価の未来を完全に予測することはできません。複雑に動く株価に翻弄されて多くの損を被った初心者トレーダーも多くいるはずです。しかし一体、誰が株価を複雑化させているのでしょうか。
結論からいうと、株価を複雑化させているのは個人投資家の行動が大きな原因です。1人あたりの資金規模を考えると機関投資家よりも影響力が小さいと思われがちですが、すべての個人投資家の資金力を考えると市場に与える影響は計り知れません。また個人投資家は自らの裁量で取引するという最大の特徴があります。
機関投資家は顧客から資金を預かる以上、顧客の資産を増やす使命があります。そのため、株式市場の流れに逆張りをすることはほとんどありません。大規模な資金力を活かし、素直に上昇株を安いところで買うのが彼らのセオリーです。同様にAI(アルゴリズム)も一定の条件が揃った場面でのみ取引を行うので、行動が単純化することが多いのです。
しかし、個人投資家は顧客から資金を預かるわけでもなく、AIのように一定の条件下だけ取引するわけでもありません。個人投資家はよい意味でも悪い意味でも自由に取引できます。この自由に取引できるという環境が株式市場の流れを複雑化させているのです。