急激な物価上昇が続き、家計の負担が日に日に増していくなか、「給与も上がってくれたら……」という声があちらこちらから聞こえてきます。しかし世界と比較すると、「今後も給与が上がることはないだろう」という、散々な日本の実情が浮き彫りに。みていきましょう。
平均給与433万円…世界主要33か国で「日本だけが賃金下落」という衝撃的な事実 (写真はイメージです/PIXTA)

1995年賃金=100とした際の「賃金上昇率」…あまりに無残な日本の順位

前述のとおり、物価上昇率以上の賃金上昇はあまりに非現実的です。昨今の平均給与の推移をみても、そう断言するほか、表現が見当たりません。

 

「給与はあがるのが当たり前」という常識は、バブル景気の終了とともに完全の崩壊したといっていいでしょう。戦後、サラリーマンが初めて給与減を経験したのは1993年のこと。この年、前年比99.5%と、わずかながら給与減を日本のサラリーマンは目の当たりにしました。

 

その後、同程度の給与水準をキープしますが、不良債権問題が本格化した1998年に、前年比99.1%と給与減を記録。以降「8年連続前年比割れ」という緊急事態に陥り、さらにリーマンショックの余波が日本を襲います。

 

2010年代に入ると、アベノミクスによって賃金は上昇傾向にありましたが、次にコロナ禍が日本を襲います。コロナ禍の経済回復も世界から遅れ、さらには今回の物価上昇で経済回復への期待も崩れ去りました。日本において「賃金上昇」、その経験は忘却の彼方といったところでしょうか。

 

OECDの発表によると、1995年の賃金を100とした際の賃金上昇率で、対象33ヵ国でトップとなったのは「エストニア」で967.6。「リトアニア」「ハンガリー」「メキシコ」「ポーランド」と続きます。

 

先進7ヵ国で比較すると、トップは「米国」で222.8。「英国」「カナダ」「フランス」「ドイツ」「イタリア」と続き、「日本」は圧倒的なビリ。もちろん、対象33ヵ国の中でも圧倒的な最下位です。むしろ、この30年弱で唯一「給与減」となっているのは日本だけなのです(関連記事:『世界ランキング「賃金上昇率」…世界主要国33ヵ国で比較』)。

 

賃金上昇=経済成長というならば、相対的な比較とはいえ、この30年弱、世界の主要国で日本だけが衰退しているといえます。このように、この日本、世界的にみても、かなり危険な状況なのです。