大卒・正社員の共働き夫婦…6,000万円のマンションをフルローンで購入したが
メリットもデメリットもあるフルローンですが、買い時を逃さないという点では特に有効だといえるでしょう。返済能力のある夫婦であれば問題なく利用できそうです。
たとえば共に大卒・正社員の夫婦。40歳前半の平均年収は男性で684万円、女性で546万円。世帯年収は1,000万円を超えます。仮に首都圏の平均6,291万円の新築分譲マンションをフルローンで購入したとしましょう。
金利は1%、返済期間は30年だとすると、利息は993万3,443円、総支払額は7,284万3,443円。月々の返済額は20万2,343円です。世帯年収に対する返済負担率は19%ですから、比較的余裕のある返済プランだといえるでしょう。
総支払額が大きくなるなど、多少のデメリットがあるものの、メリットもあるフルローン。しかし最近、利用者からは「戦々恐々としている」という声が聞こえてきます。その原因が金利の上昇。米国ではインフレ抑制のため大幅な利上げが発表されていますが、日本も同じように……と懸念が高まっているのです。
今のところ、急激な金利の上昇といった動きは見られませんし、そもそも変動金利と固定金利では金利決定のロジックが違います。固定金利は金利上昇が続きそうというのが大方の見方。変動金利はマイナス金利が解除されると上昇が見込まれますが、日銀は国内経済が回復するまでは金融緩和を継続すると宣言しているので、当分先の話となるでしょう。
ただし頭金を投入しない分、借入金が大きくなっているフルローンでは、金利が上昇すると返済利息も膨れ上がることは避けられません。前述の例では金利が1%上がると、利息は1,914万6,580円となり、その差額は921万3,137円にもなります。
住宅ローン返済は平均30年余りと長期戦になります。その間、変動金利がそのままとは考えにくいでしょう。しかし超低金利に慣れ切っている日本人には、金利のある世界に耐性はなく、金利上昇局面での対応にも不慣れ。対応を間違えて返済不能に陥るなど、まさに破綻予備軍といえるような人も多いと考えられます。
来る金利上昇に備え、繰り上げ返済を活用するのもひとつの選択肢。借入残高が小さくできれば、金利上昇局面でも利息の増加額が少なくなります。ただ住宅ローンの返済以外に大きな支出が想定されるなら、無理な繰り上げ返済は禁物。長期的な視点で家計を見据え、最善の対応をしていく必要があります。