不動産投資をするうえで最大のリスクになる「空室問題」。入居率を上げ空室を最小限に抑えるためには、「家賃を下げる」・「礼金をなくす」いったいどちらが得策なのでしょうか。数々の中古マンションを売り、自身としても投資を続けてきた株式会社エイマックス代表取締役の天田浩平氏が、本記事で詳しく解説します。
あえて敷金、礼金を「ゼロ・ゼロ」にするメリットとデメリット【不動産投資のプロが解説】

あえて礼金、敷金を「ゼロ・ゼロ」にするメリット

もうひとつは、礼金、敷金を「ゼロ・ゼロ」にすることで、家賃が上がるケースもあります。ワンルームマンションの入居者にとって、入居時の負担が減ることに魅力を感じる人は少なくないからです。

 

私は、お客様に買っていただいた投資物件に思い入れがあるため、不動産を売る立場としても買う立場としても、資産価値が減ることに強い抵抗があります。ですから、空室が続き、対策をとらなければならない場合でも、「いかに家賃を下げずに入居者を決められるか?」「いかにして家賃を上げることができるか?」ということを強く意識してきました。

 

それほどに家賃にこだわるのも私のルールなのです。

 

ただし、礼金、敷金を「ゼロ・ゼロ」にすることには、デメリットもあります。たとえば、入居時の費用がかからないので、気軽に引っ越してしまう人も出かねません。その結果、短期で解約されてしまうことにつながってしまうのです。

 

私はそのリスクを避けるため、1年以内に退去する場合は家賃1か月分の違約金を払っていただく賃貸借契約を締結しています。こうした対策をあらかじめ講じておくことで、仮に1年以内に退去となった場合でも、家賃1か月分が補填されることになるのです。

 

また、礼金1か月分をゼロにした場合、管理会社の募集手数料はゼロとはなりません。通常どおり支払わなければならないので、オーナーの持ち出しになります。

 

それでも、礼金、敷金を「ゼロ・ゼロ」にして、家賃が3000円でも高くできれば、マンション投資物件の利回りもよくなり、その結果、物件価値が80万〜100万円上がることにもつながります。

 

2週間の空室を埋めるために家賃を下げるよりも、1か月以上かかっても、礼金、敷金を「ゼロ・ゼロ」で入居者を募集し、家賃を3000円上げるほうが得策なのです。

 

こうしたノウハウは、自分でも24歳から12年間、投資マンションの賃貸経営をしてきたからこそわかったことです。空室対策の相談を受けたお客様に伝えると、「そういうやり方もあるんですね!」とびっくりされます。そして、ますます信頼してくださいます。逆の言い方をすれば、それだけ、空室になったらすぐに家賃を下げようと提案する管理会社が多いのです。