子供は特に要注意…昨今の「アウトドアブーム」に潜むキケンな病【小児科医が解説】

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子供は特に要注意…昨今の「アウトドアブーム」に潜むキケンな病【小児科医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今のアウトドアブームと相まって、夏場のレジャーシーズンは食中毒が増える季節でもあります。この時季に気をつけたいのが、「腸管出血性大腸菌」による食中毒です。免疫力の弱い子供への感染は特に注意しなければならないと、小児科医の米田真紀子先生はいいます。そこで今回は、「腸管出血性大腸菌」による食中毒の感染経路や症状、予防法についてご紹介します。

腸管出血性大腸菌感染の典型的な症状

腸管出血性大腸菌の症状は、典型的には腹痛と下痢などの消化器症状です。発熱はあることもあれば、ないこともあります。一般的に通常の胃腸炎より症状が重く、長引くことが多いです。そして、約半数の症例で下痢が次第に血性に変わります。

 

通常の胃腸炎のときに、時折便とともにピンク色の粘液のようなものが見られたり、便の表面にうっすら血のような色が付くことがありますが、この場合はもっとはっきりとした真っ赤な血便が見られます。これは、この大腸菌が持つベロ毒素が、腸管粘膜をはがしてしまうためです。

 

そして、ベロ毒素は大腸だけでなく、脳や腎臓の血管や、尿を作る尿細管と呼ばれる管にも同様の障害を起こすため、腎臓の血管が障害されて働きが弱まったり、血管が傷付き赤血球や血小板が壊されて貧血が進行(溶血といいます)し、黄疸が出ることもあります。脳の血管を障害すると脳梗塞ないし脳出血を起こしやすくなります。

 

こうした状態になるのは、大腸菌による胃腸炎症状が出た人のうち数%だけですが、発症から3日後から1週間前後で血便や血尿、体や結膜の色が黄色いといった症状が出た場合は、ただちに透析や全身管理を含めた高度な治療を受ける必要があり、命にも関わる非常に怖い病態です。

食中毒を防ぐためにはどうしたらいい?

食中毒予防の大原則は、「付けない」「増やさない」「やっつける」です。生肉と同じ容器やお箸、トング、まな板や包丁などの調理器具を共用しないことや、都度しっかり洗うこと、野菜や果物など生食するものもしっかり洗うことが鉄則です。

 

また当たり前のことですが、大腸菌などの細菌は一般的に室温以上ではすぐに増殖してしまうため、保管時の温度管理も重要です。

 

コロナ禍でテイクアウトやデリバリーを利用する人も多いですが、常温で置かずいったん冷蔵庫で保管するか、早めに食べるように心がけましょう。さらに、大腸菌は熱に弱く、80度以上1分間の加熱で死滅するので、肉や、肉と一緒に調理するものにはしっかり火を通して菌を死滅させることが何より重要です。

 

腸管出血性大腸炎/溶血性尿毒症症候群は早期発見、早期治療がとても大切な病気です。

 

万が一、生肉を食べたあとや、バーベキューをした後などに、激しい下痢症状や腹痛があるときには、この病気を疑う必要があります。医療機関を受診した際には、かならず医師にその情報を伝えてください。

 

 

米田 真紀子

小児科医

医療法人 啓信会きづ川クリニック

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。