生理の回数が多いとハイリスク!?「乳がん」を発症しやすい人の特徴【臨床医が解説】

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生理の回数が多いとハイリスク!?「乳がん」を発症しやすい人の特徴【臨床医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

年々、日本人女性の罹患率が増加している「乳がん」。発症しやすい人の特徴や危険因子として、何が挙げられるのでしょうか? セカンドオピニオンのパイオニアであり、TVでもおなじみの新見正則医師が解説します。

女性の9人にひとりが罹る現代病、「乳がん」

現在、乳がんは女性が罹るがんの中で、世界でも、日本でも第1位です。日本では毎年約10万人の女性が罹ると言われています。9人にひとりの女性が乳がんと診断される時代になりました。50年前は50人にひとりの女性が乳がんと診断されていましたので、現代病とも言えます。そして、実は男性も乳がんに罹りますが、女性の100分の1以下の頻度です。つまり、現代に生きている女性は、非常に乳がんに罹るリスクが高いと言えます。

 

乳がん治療の歴史は古く、1804年世界初の全員麻酔を考案したとされている華岡青洲は、そのチョウセンアサガオなどを使用した漢方薬による全身麻酔で乳がんを摘出しています。古くて、そしてどんどんと罹患数(病気に罹る数)が増加している疾患です。

「乳がんを発症しやすい人」の特徴とは?

まず、生活習慣に関してわかっていることは、喫煙、アルコール摂取、糖尿病はほぼ確実に乳がんのリスクを高めるということです。閉経後の肥満や運動不足も乳がんのリスクを高めます。

 

乳がんはホルモンに影響されるがんなので、なんと生理の回数が多い方ほど乳がんになりやすいのです。つまり初潮が早い、閉経が遅い、出産回数が少ない、授乳期間が短いなどです。現代の女性は一生涯で500回近くの生理があると言われています。むかしは、初潮も遅く、たくさんのお子さんを産み、授乳期間も長かったので、一生涯で生理が100回に満たない人もたくさんいたそうです。そんな時代背景もあって、乳がんは現代病なのです。

 

また、ピルの長期服用も乳がんのリスクを高くします。アメリカでは乳がんの罹患数は1990年代をピークに減少に転じています。一方で日本では、21世紀になっても乳がんの罹患数の増加傾向は止まりません。この原因について、アメリカではピルの乱用が1990年代から行われなかったからという仮説を唱える人もいます。

 

現在のピルは低用量の内服が基本です。その場合には乳がんの発症リスクはわずかながら高くなる可能性があると「乳がん診療ガイドライン」には記載されています。ですから、ピルの使用はメリットとデメリットを主治医と相談して決めてください。

5~10%は遺伝性。血液検査で発症リスクがわかる

乳がんの5~10%は遺伝性であると言われています。最近は遺伝子を調べることでBRCAという乳がん発症に関わる遺伝子の変異を調べることができます。映画スターのアンジェリーナ・ジョリーさんがこの遺伝子変異を持っていたために、両側の乳腺と卵巣を予防的に切除したことで一躍、予防的乳腺切除術が脚光を浴びました。

 

そして現在、本邦ではこの遺伝子変異は遺伝性乳がんを疑われる人では公的医療保険の適用になっています。適用条件は、①45歳以下の乳がん、②60歳以下のトリプルネガティブ乳がん、③2個以上の原発性乳がん、④第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がんの家族歴を有する乳がん、⑤男性乳がん などが対象です。この遺伝子変異はどの細胞にも起こっていますので、血液を検査することで結果は判明します。

 

ここで「トリプルネガティブ乳がん」という文言が出てきました。現在の乳がん治療は抗ホルモン療法が効くものとHER2という分子に対する薬が有効なもの、で分類します。ともに有効な乳がん、片方の治療のみが有効な乳がん、両方の治療が無効な乳がんの4種類になります。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、両方の治療が無効な乳がんは、エストロゲンも、プロゲステロンも、HER2もネガティブという意味合いでトリプルネガティブ乳がんと呼ばれます。しかし、トリプルネガティブ乳がんでも抗ホルモン剤やHER2に対する薬剤が無効ということで、他の薬剤は有効ですのでご安心ください。

「発症リスクを上げる食品、下げる食品」はある?

乳がんは現代病で、そして欧米での罹患率が高かったことから、生活習慣の欧米化が原因と推測する人もいます。そうすると乳製品がターゲットになりやすいのですが、乳製品の摂取が乳がんのリスクを高めるのか、むしろ低下させるのかは未だに結論が出ていません。

 

一方で大豆製品が乳がんのリスクを低くすると「乳がん診療ガイドライン」には記載されています。ですから、食事の欧米化よりも、大豆食品を含む和食の減少が乳がんのリスクを高めていると推測することもできます。すると大豆の成分であるイソフラボンの摂取が乳がんのリスクを低くしそうですが、「乳がん診療ガイドライン」には「不明」と記載されています。

乳がんは「セルフチェック」が有効

乳がんはどのステージ(病気の段階)でも、長生きする可能性が高い病気です。しかし、早期発見、つまり病気の段階が手前のものほど長期の生存率は上昇します。ですから、早期発見できるように心がけましょう。定期的に乳がん検診を受けることも大切ですが、何より大切なのは自分のお乳に注意を払うことです。

 

乳がんはみなさんが自分で見つけられる数少ないがんです。ですから、常日頃から時々は、しっかりと自分のお乳を観察してください。生理前や生理中はお乳が張るので、生理後にお風呂などで、触ると良いでしょう。また、乳首から血性の汁が出たときは乳腺クリニックを受診してください。

 

乳がんと診断されても、慌てずに納得した治療を選んでください。がんは何年もかかって触ってわかる大きさや、検査で判明する大きさになります。ですから、治療の開始を数ヵ月送らせても基本的に問題ありません。それよりも、「早くしないと進行するから…」と半分脅されて、納得もできないまま、治療を開始することだけは避けてください。

「健康的な生活」を心がけることが第一

乳がんは年齢のピークが二層性です。多くのがんが高齢者に罹患数のピークがあるのですが、乳がんはそのピーク以外に、50歳代前後にピークがあります。ですから40歳頃から乳がんには気を付けておいたほうがいいでしょう。

 

性格によってがんになりやすいとか、ストレスでがんができるということも言われていますが、確証はありません。上記でいろいろと乳がんの危険因子を説明しましたが、基本的には健康的な生活を送ることが大切です。

 

がん細胞はある程度の年齢になると常時発生していると考えられています。しかし、免疫の力で退治しているのです。その免疫力とがんの勢いがアンバランスになると発がんします。免疫力とは「健康力」とほぼ同じ意味合いです。あまり、むずかしいことを考えずに、日々健康的な生活をできる範囲で行ってください。

 

 

新見 正則

新見正則医院 院長

オックスフォード大学医学博士(DPhil)

外科専門医・指導医/消化器外科専門医・指導医/漢方専門医・指導医など

 

 

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