なにが変わる?…「医師の働き方改革」
医師の働き方改革で中心となるものは、「労働時間の上限規制」「時間外割増賃金率の引き上げ」です。
2011年に実施された労働政策研究・研修機構(JILPT)による「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、勤務医の4割以上が過労死ラインの月80時間以上の時間外労働を行い、また、本来は睡眠が確保される「宿日直業務」で、ほぼ一睡もできない、日中と同等レベルの救急外来などの業務が実施されていたことが明らかになりました。
このようなこともあり、時間外労働の上限規制は、「月100時間未満/年960時間以下」と規定されました。一部の医療機関では例外として「月100時間未満/年1860時間以下」とされています。
全国の医療機関が大混乱…「時間外労働」の現実
こうした時間外労働の規則が導入されると、医療現場に混乱が生じ、これまでの医療サービスの維持が困難となることが予測されます。
まずは、全国的に存在している大学病院の勤務医師です。大学病院という性格上、重症症例や緊急症例の受け入れを積極的に行っており、診療のほか教育・研究なども勤務時間としてカウントされる場合、大学病院のみの勤務で前述の時間外労働の基準に到達します。
時間外労働時間に合算される大学病院の関連病院やOBOGのクリニックなどに医師派遣が不可能となってしまいます。結果として、薄給である常勤先の給料のみで、アルバイト先(医局からの紹介、あるいは自分で探すなど)からの収入がなくなり、生活の維持が困難となるのです。
先日、東京都内の大学病院においては、経営難であることを理由に、同じ時間の拘束で減給、あるいは就業時間を延長して同額の給与の2択を、勤務するすべての医師に迫ったところ、医師が100名単位で退職しました。
こうした前例から、今後も大学病院での勤務希望者は2002年の初期臨床研修導入時と同じインパクトで減少することが懸念され、診療機能の維持が難しくなる可能性があります。
さらに、当直やオンコールなどを大学病院あるいは医師派遣会社などの人材に依存してきた、地域の医療機関においても、人材確保が困難となっています。特に、産婦人科で分娩を取り扱う医療機関では、当直・オンコール医師の人員確保に難渋する可能性が高くなります。
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