夫婦ともに、大卒で正社員の共働き。世帯年収が1,000万円を超えるような家族が、いま高騰を続ける都心のマンションの購入者になっているといいます。そんな余裕のある家族も、想定外の出来事で一気に住宅ローンの返済が苦しくなることも。その原因とは? みていきましょう。
手取り56万円…「大卒・子持ち夫婦」の余裕を打砕く「ローン返済額」 (写真はイメージです/PIXTA)

子持ち夫婦の住宅ローン返済…思わぬ負担増の原因は?

返済負担率25%であれば、適正な返済プランだといえますが、気を付けたいのが支出の見通し。特に子どもの教育費は節約しづらく、高校、そして大学へと進学するに伴い、教育費の負担は増大します。ローン返済にも影響を与えるので、細かなシミュレーションが必須です。

 

日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査』(調査期間:2021年10月14日〜10月19日)によると、子ども1人当たりの入学費用は、高校が35.0万円、大学が81.1万円。大学も国公立であれば67.2万円ですが、私立文系で81.8万円、私立理系で88.8万円になります。

 

さらに1年間の在学費用をみていくと、高校で75.6万円、大学で149.9万円。ここでも国公立であれば103.5万円ですが、私立文系で152.0万円、私立理系で183.2万円と、学費に大きな違いが見られます。

 

高校から大学卒業までの7年間でかかる教育費は平均942.5万円。大学が国公立であれば743万円ですが、私立文系であれば951.6万円、私立理系で1083.4万円。国公立と私立理系で1.5倍ほどの開きがあります。

 

また同調査では、自宅外通学者がいる世帯は、全体の28.1%。当然、地方ほど多く、都市部ほど少なくなりますが、都市部在住だからといって、必ずしも自宅から通学できる大学に進学するとは限りません。自宅外通学者への仕送り額は年間平均95.8万円。月々8万円ほど、プラスαの負担増となります。

 

このように、子どもの進路によって、教育費は大きく変わります。仮に私立理系、自宅外通学だとすると、月々の支出は23万円。前出の例だと、住宅ローンの返済と合わせて46万円ほどの支出となります。もちろん親の収入も年齢と共に増えていけば、なんてことないかもしれません。

 

しかし想定通りに給与は増えていかず、「まさかうちの子が、自宅から通うことのできない、私立大学に進学するなんて」という展開になったら……残念ながら、夢のマイホームは手放すほか、方法はありません。なかなか削ることのできない教育費。マイホームを購入する場合、教育費は最大値を想定し、綿密な返済プランをたてるのが得策です。