夫婦ともに、大卒で正社員の共働き。世帯年収が1,000万円を超えるような家族が、いま高騰を続ける都心のマンションの購入者になっているといいます。そんな余裕のある家族も、想定外の出来事で一気に住宅ローンの返済が苦しくなることも。その原因とは? みていきましょう。
手取り56万円…「大卒・子持ち夫婦」の余裕を打砕く「ローン返済額」 (写真はイメージです/PIXTA)

大卒・共働き夫婦なら、都心の億ションだって夢じゃない

国土交通省『令和3年度 住宅市場動向調査』によると、新築分譲マンション購入者の平均年齢(一次取得者、世帯主)は39.5歳。現在、第1子誕生の平均が父親は32.8歳であることから、我が子が小学生に入学するタイミングでマイホーム実現、というパターンがイメージできます。

 

実際に購入するマンションの平均価格は4,674万円。一方、不動産経済研究所が発表した4月の首都圏の新築分譲マンション価格は、平均6,291万円、東京23区に絞ると7,344万円。東京で新築マンションとなると、全国平均よりもはるかに高い予算を覚悟しなければなりません。

 

【分譲マンション「購入者」の平均像】

  • 世帯主年齢:39.5歳(一次取得者)
  • 世帯年収:852万円(一次取得者)
  • 居住人数:2.7人

 

【分譲マンション「購入物件」の平均像】

  • 購入資金:4,674万円
  • 借入金:3,337円
  • 返済期間:32.0年
  • 年間返済額:150.4万円

 

しかし都心の高価格帯のマンションでも、購入者は殺到しています。たとえば東京五輪の選手村だった『HARUMI FLAG PARK VILLAG』は、平均価格8,000万円弱(第一工区2期147戸)という価格帯ながらも即日完売だとか。

 

驚くほどの消費欲を後押ししているのが、超低金利。最近は金利引き上げでざわざわしていますが、それでもローンを利用しやすい環境下、「買うならいま!」という売り文句も後押しして、いまどき、普通の会社員家族が、都心の億ションを買っています。

 

たとえば、ともに大卒・正社員の30代後半の共働き夫婦だとしたら、夫は年収625万円、月収41万円。手取りにすると31万円ほど。女性は年収491万円、月収32万円、手取りにすると25万円ほど。夫婦で年収1100万円、毎月の手取りは56万円ほどになります。

 

返済負担率を25%とすると、年間返済額は275万円、月々の返済は23万円。返済金利1%とすると、20年返済で5,000万円、30年返済で7,000万円ほどの借入が行える計算。頭金の額によっては、確かに普通の家族でも、億ションだって夢ではありません。