医学部の合格のみでは、医師免許の保証がまったくない
2022年2月上旬の2日間に第116回医師国家試験が施行されました。
受験者数は10,061人であり、合格者は9,222人(91.7%)でありました。これだけを聞くと、公認会計士試験や司法試験と比べると合格率が明らかに高い……という現実はあります。
ただ、言い換えれば、約1,000人程度の受験生は医師国家試験不合格という現実に直面しています。このように、医学部に入学さえすれば医師になれる、という保証ありません。
他方、医学部入学者は、女性の割合が増加しています。男性と比べて女性の場合、医師になるという意志の強い傾向があり、たとえ子育て中でも医学部に入学し、卒業試験と国家試験をストレートに合格する割合が高いのです。
その1つの例が、慶應義塾大学文学部を卒業後にキャスター・気象予報士として活躍していた小島亜輝子氏です。彼女は、子育てをしながら31歳で関東県内の医学部に入学。今回の医師国家試験で見事合格しました。
浪人生の苦悩…待ち受ける「不合格」のループ
さて、医師国家試験に不合格となる割合が厚生労働省から発表されています。
現役生では90%以上の合格率ですが、医師国家試験の合格率は国家試験浪人の1年目では70.0%、2年目では46.6%、3年目では33.3%、4年目ではさらに低下して15%未満となり、不合格のループは2年以内に抜け出ないと、半永久的にループしている現状があります。
その理由として、最新の医学知識を習得する機会が減っていること、学力はもちろん精神面などに優れている新規の現役生が試験を受けて太刀打ちできなくなること、不合格という現実を繰り返すことで自己肯定感が低下し、不安障害やうつ病などの精神疾患を発症することなどが考えられています。
「不平等」な医学部入試
なぜ、このように医師不適格の烙印が押される学生が一定数いるのでしょうか。
その理由の1つとして医学部入試の不正が考えられます。2018年に息子を東京医科大学に合格させる代わりに、私立大学研究ブランディング事業に関して便宜を図った、文部省官僚の「受託収賄罪」の報道はご存知かと思われます。
これを契機に全国の医科大学を調査したところ、入学試験の点数などの便宜を性別・浪人回数などで加点などを実施していた大学が10校と発表されました。
実際にはこれは氷山の一角と推定され、1点〇〇〇万円という資金が研究資金として動いていた報道もあります。すなわち、医学部入学の時点で少なくとも10年間は、公平な基準で選抜されていなかった可能性があり、学力・人物像・倫理観などが医師として不適格である入学生が紛れていた可能性が高いです。
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