コロナ禍で一時期は「コロナ移住」という言葉が生まれるほど、人混みを避けるために都心から地方へ人が移ったと言われていました。しかし、人口の推移から見る限り、東京での不動産投資は、この先も安泰といえそうです。みていきましょう。
コロナ禍で郊外が人気だったが…結局「東京に人が集まる」3つの理由

コロナ禍でも東京の人口増加は止まらない

2020年にコロナ禍が始まって以来、「3密」を避け、人との距離を取ることがニューノーマルになりつつあります。その影響で、日本で最も人が多い大都会である東京からは、さぞかし多くの人口流出があったかと想像しますが、実際にはそうとも言えないようです。

 

総務省のデータをもとにして、2020~2021年度における15~59歳の転入超過数を主要都道府県別にみてみると、働き盛りの50代後半までを入れたデータでは、東京と神奈川の大都市圏への人口流入が突出しており、その他の地域との格差が大きくなっています。

 

このように大都市圏への人の流れが止まらない大きな理由として、以下の3つが考えられます。

 

新社会人・進学の流れは止められないから

コロナ禍があってもなくても、もともと東京は多くの人が集まる場所であり、多くのチャンスがある大都会であることは、変わりません。進学においても東京は大学の数が最も多く、東京にやってきた大学生たちの大多数が首都圏でそのまま就職し、首都圏以外の大学の学生も、一定数は首都圏で就職先を探します。

 

実際には、進学先は大学以外にも、専門学校・職業訓練学校などもあり、高校卒業後の進路には就職もあることから、より多くの若年層が東京に流れ込んでいることが類推できます。

 

総務省の人口流入超過の資料から、15~29歳だけを抜き取ってみてみても、同じ主要都市や大都市圏であっても、15~29歳の「若者」に限っては、東京に一極集中で流入していることがわかります。15~29歳は、進学・就職・転職が起きやすい時期であり、多くの若者がより可能性の多い都会を目指し、中でも、最もチャンスが多いと思われる東京に流入していることが伺えます。

 

このように、若者は自覚的に都会を選択しており、その傾向は、コロナ禍以前から変わっていません。

 

主要企業が集中しているから

日本における経済活動のメインの場である東京には、大企業や有名企業が集中していることから、就職・転職などの選択肢が多数あることに加え、給与アップなどのステップアップができるチャンスも多いため、多くの人が集まります。

 

また、東京のような大都会は、あらゆる最新情報の発信地であり、店舗数の多さ、娯楽施設の多さなどは、群を抜いています。また、他府県からの流入が多く、必然的に見知らぬ人が圧倒的に多いライフスタイルを送ることになるため、拘束も少なく、精神的な自由度も高くなります。

 

特に、地元での風習や文化が肌に合わないケースや、人間関係の閉そく感などを感じている方にとっては、進学・就職に加えて、東京での都会暮らしは大きな魅力となります。

 

このように、経済が集中するところに人が集まり、さらに経済活動が好循環しやすい背景が東京には整っているため、コロナがあってもなくても、東京を選ぶのは自然な流れといえます。

 

また、一度、東京に移住すると、他のエリアで同等の物が得られることは期待できないため、コロナ禍でも地元へ帰るという選択肢は選ばれにくい傾向にあります。

 

圧倒的な賃金格差があるから

東京は人が多く企業も多いため、経済の好循環が起きやすい背景があります。その結果、賃金も高くなり、働きに対しての可処分所得に対する満足度は、他府県よりも大きくなる傾向にあります。

 

たとえば、2021年度の東京都の最低賃金は、1時間あたり1,041円です。時給が1,000円を超えている地域は東京と神奈川だけであり、これらの数値は、最初に紹介をした人口推移グラフで東京と神奈川だけが突出していたことの裏付けにもなります。

 

全国の平均時給は930円ですが、最も低い高知県と沖縄県は820円です。東京との格差は約220円もあるため、仮に1日7時間労働だとすると1日で約1,540円もの差額が発生し、20日間で約3万円の手取りの違いが出ます。

 

大卒初任給は、東京は全国トップの約22万円、2位の千葉県は約21万円ですので、同じ都市部でも、1位と2位の差ですでに約1万円もの差額が発生します。最低額の沖縄県との差は約5万円です。

 

このように、同じ時間を働いた場合の圧倒的な賃金格差があるため、コロナ禍があってもなくても、せっかく働くのであれば都心部、その中でも、最も時給や給与の高い東京で、と考えるのは自然と言えます。