ローンを活用してマイホームを実現する場合、頭金を入れるのが一般的ですが、なかには「全額ローン」というケースも。そこには物件の買い時を逃さないというメリットがある一方、返済負担が増えるというデメリットも。しっかりとしたシミュレーションのもと、全額ローンを利用しているのであればいいのですが、そうでない場合、悲惨な末路を辿ります。みていきましょう。
全額ローンで住宅購入…重すぎる「毎月の返済額」に「65歳でも仕事を辞められない」会社員一家のツライ現実

金利上昇のニュースに焦り…今後どうなる?

——金利上昇のニュースに、焦っている

 

最近、そんな声が多く聞かれます。大手銀行で住宅ローン金利の引き上げのニュースが相次いだことによるもの。通常、何千万円も借入をして実現するマイホームですから、わずかな金利の違いで総返済額に大きな違いが出てきますので、色々と思考を巡らすことは仕方がないことです。

 

5月の固定金利の最低金利は、固定3年で0.580%で前月比0.020%の上昇、固定5年で0.530%で前月比0.020%の上昇、固定10年で0.700%で同月比0.085%の上昇となりました。米国の連棒準備制度理事会、FRBが金利引き上げを決定したことで、今後、市場金利にも影響が出るといわれています。

 

またフラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下)の最低金利は1.480%で、前月比0.040%の上昇。2022年1月が1.300%だったので、今年に入り0.180%の上昇となっています。フラット35は全期間固定金利型なので、今後、借入を検討する人は、金利動向に注視する必要があるでしょう。

 

変動金利については金融機関同士の競争が続く限り、現状の状況が続くと予想されています。また2022年中の政策金利引き上げの声は聞こえてきませんが、極端な物価等上昇が続けば、マイナス金利政策終了という事態になるかもしれません。

競争激化で「フルローン」をうりにする金融機関が増加

超低金利を背景に「住宅を購入するなら今がチャンス!」と広く言われたことから、多くの人がローンを活用してマイホームを実現しました。また金融機関同士の競争により、より有利な条件での借入を提案するケースも多く見られました。

 

そのひとつが全額ローン。通常、住宅を購入する際には、費用の一部を頭金として用意するのが一般的です。国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』によると、新築マンションの購入価格の平均は4,639万円で、そのうちローンは3,050万円。頭金として34%程度用意しています。ただ全額キャッシュで購入するという人も少なからずいて、平均を押し上げていると考えらえます。一般的に住宅購入の際の頭金の目安は、およそ20%といわれています。

 

頭金を用意すれば借入額を減らし、利息の削減にも繋がります。一方で頭金を用意するには時間がかかり、「あのマンションが理想なのに、頭金が足りない……」と、住宅購入の機会を逃すケースがあります。また預金のすべてを頭金に使った場合、急な出費に耐えられないというリスクも伴います。

 

頭金を用意することにはメリットもデメリットもありますが、ネット銀行を中心に「頭金は必要ありません、全額ローンで大丈夫です」というサービスは広まり、超低金利時代のいま、多くの人が利用してマイホームを実現しています。