歩けなくなる前に気づいて…股関節が発する「3つ」のSOSサイン【医師が警告】

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歩けなくなる前に気づいて…股関節が発する「3つ」のSOSサイン【医師が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

股関節のクッション役を果たしている軟骨がすり減ってしまったことにより、股関節の痛みや可動域の減少などが起こる変形性股関節症。そのまま放置すると歩けなくなるリスクもあることから、治療は「先手必勝」が肝心と、世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏先生はいいます。では、具体的にはどのような治療法があるのでしょうか。みていきます。

2通りの手術…それぞれの「メリットとデメリット」

骨切り術と人工股関節置換術には、それぞれ、次のようなメリットとデメリットがあります。

 

骨切り術のメリットとデメリット

【メリット】

・自分の股関節を温存できるため、基本的に脱臼する心配がない

・日常生活に制限がなく、スポーツも自由に行える

 

【デメリット】

・入院期間が長く、1〜2か月は必要

・リハビリ期間も長い。社会復帰まで3~6か月程度かかる

・手術後の痛みが強い

 

人工股関節置換術のメリットとデメリット

【メリット】

・入院期間が短く、1〜3週間で退院できる(病院により入院期間が異なる)

・リハビリ期間も短く、1~3か月くらいで社会復帰できる(ただし、運動療法は継続する必要がある)

・股関節の可動域が手術前よりも増え、生活レベルが上がる

・手術後の痛みが少ない

・両脚の長さに差異がある場合はそろえることができる

・左右の股関節に異常がある場合は、両脚同時に手術を行える

 

【デメリット】

・人工股関節の寿命により、将来的に再手術の可能性がある

・激しい運動や労働など、股関節に負荷のかかる動きはNG(重労働やコンタクトスポーツなど)

人工関節の「寿命」…医療技術の進歩とともに長寿化

骨切り術は、自分の股関節を温存することができるというメリットがあり、20代や30代の若い患者で、症状が初期の場合にはこの術式が採用されることがあります。しかし、社会復帰までの時間が長く、体に対する侵襲性を考えると、人工股関節置換術に軍配が上がります。

 

かつては、人工股関節の寿命は10~15年程度といわれており、40代や50代で手術をすると、将来的に再手術が必要になることも少なくありませんでした。

 

しかし近年では、人工股関節の技術も進化し、耐久性の優れたものも増えており、人工股関節が20~30年以上機能する可能性が期待できます。50歳程度で人工股関節へ置換すれば、生涯、再手術をしなくてもずっと使用できるというケースも少なくありません。

 

人工股関節置換術は、非常に高度な技術を必要とする手術ですが、整形外科で行われる手術のなかでも、患者さんからの満足度が高い手術のひとつといわれており、実際、9割以上の方が術後に満足していると回答されています。

 

 

塗山正宏

世田谷人工関節・脊椎クリニック

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。