最初は娘が褒められればうれしかったが…
復讐、というと何やらただならぬことが起きているように聞こえる。しかもそれが自分の娘に対して行うのだとなると、大変恐ろしく聞こえる。
「娘は確かに可愛いですし、夫に似てきりっとしたところもあって、小さい頃から皆さんに可愛がられていたんですよ」
それは親としては嬉しいことではないのだろうか?
「わたしだって悪い気はしません。お母さんに似て、とか、親子で素敵ですね、とか言われれば嬉しいですし、そう言ってくださる方たちにはありがたいなと思っていました」
しかし、
「でもねぇ、娘が生まれたときから夫は娘しか眼中にないんですよ。それに夫の両親ときたら。娘が生まれる前は、お義母さんなんかわたしのことをいつもきれいねとほめてくれるし、お義父さんだってわたしの方を見てにこにこしてくれていたのが、娘が生まれてからは娘の方ばかり見て、わたしになんか笑顔一つ見せなくなりましたからね」
「出産はどちらかというと難産でしたし、生まれたあとも体力が回復しないままに授乳から何から大変なのに、皆さん、娘の心配ばかりして、わたしのことはこれっぽちも気にかけやしませんでした。実の両親も義理の両親も、初孫だというので娘のことはちやほやちやほやするんですけど、わたしには子どもに与えるからゼリーを持ってこいだの、むずかっているから抱っこしてやれだの、あれこれ指図してわたしにやらせるばかりで、自分たちは全然腰を上げないんです」
そして夫も、
「正直言って、夫は苦労しているわたしのことなどどうでもよくて、娘を猫可愛がりしてばかりいました。あれじゃペットを飼わせた方がよほどましですよ。娘が泣けば、全部わたしが悪いように怒り出すんです。でもペットを飼っても自分が可愛がりたいだけ可愛がって、あとの世話は全部わたしに押し付けるでしょうね(笑)」
子どもと夫、両親のための下働きばかりさせられて、子どもが生まれた嬉しさなど、あっという間に消し飛んだ。自分では、家事や育児をすることは当然のことと思っていた。