社会人となって40年あまり。定年を迎えるとともに、多くの人が退職金を手にします。一度に1,000万円を超えるお金を手にする人が多い一方で、それでも破綻という結果を迎える人も。なぜなのでしょうか、みていきましょう。
平均退職金1,600万円…元大卒・会社員が陥る「老後破産」の悲惨

 

勤続30年で退職金1,658万円…手取り額はいくら?

厚生労働省が発表した『毎月勤労統計調査(速報)』によると、労働者1人当たりの現金給与総額(名目賃金)が28万6,567円と前年同月比1.2%増。3ヵ月連続で前年を上回ったと大きく報道されました。

 

そのうち、基本給にあたる所定内給与は24万7,249円で前年同月比0.5%増、残業代などの所定外給与は1万8,801円で前年同月比2.5%増。さらに賞与など特別に支払われた給与は2万0,517円で前年同月比10.7%増でした。

 

先日、岸田総理が訪英中の講演で「所得倍増計画」について言及したため、その弾みになるのでは、という期待感も聞かれます。しかし今回の前年を上回る平均賃金は、コロナ禍の行動制限から経済が徐々に動き出したところが大きく、昨今の物価上昇を下回っているため、実質的に手にする給与は減っているというのが現状です。

 

給与があがる道筋が見えないなか、「最後の望みは退職金」という人も多いことでしょう。

 

厚生労働省『平成30年 就労条件総合調査』によると、退職給付(一時金・年金)制度がない企業は19.5%。従業員規模1,000人以上企業では7.7%、100~999人企業では13.4%、30~99人企業では22.4%と、企業規模が大きくなるほど、退職金制度は充実する傾向にあります。

 

また定年退職による退職一時金の平均は大学・大学院卒で1,678万円。月収換算にすると、33.7ヵ月分となっています。

 

*管理・事務・技術職の場合

 

勤続年数別にみていくと、20~24年で1,058万円、25~29年で1,106万円、30~34年で1,658万円、35年以上で1,897万円。さらに企業規模別にみていくと、従業員1,000人以上で1,781万円、300~999人で1,817万円、100~299人で1,615万円、30~99人で1,364万円となっています。

 

1,600万円ほどの定年退職金。聞きたくない話かもしれませんが、課税対象です。ただ退職金に関しては、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して所得税が課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。

 

退職金の控除額は、勤続20年以下の場合、「40万円×勤続年数」、20年を超えると、「800万円+70万円(勤続年数-20年)」となります

 

*障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額となる。また前年以前に退職金を受け取ったことがあるときまたは同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときなどは、控除額の計算が異なることがある

 

上記の勤続年数別の平均退職金額で、実際の手取り額をみていきましょう。

 

  • 勤続20年、退職金1,058万円の場合、手取り額は1,038万円
  • 勤続25年、退職金1,106万円の場合、手取り額は1,106万円
  • 勤続30年、退職金1,658万円の場合、手取り額は1,646万円
  • 勤続35年、退職金1,897万円の場合、手取り額は1,893万円

 

このように、平均的な退職金額の場合、それほど額面と手取り額に差はありません。